第211話 底知れない巫女

「のう、お願いじゃあ。私やにはリリウムしかおらん。これで婿殿まで神の御許に取られたら寂しゅうて……」


「判ったよ、お祖母ちゃん! 私、頑張る!」


 泣いている振りして口元が悪い歪み方になっていたのは気のせいかな?


「アダムの末裔様の勧める一杯なら婿殿も断らん筈じゃ」


 ええ、アダムの末裔の権威をその為に利用するの? 


 ルクスは底が知れない。


 ファウストの言っていた意味がようやく視えてきた。

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