第192話 結局誤解は解けない

 少ししてまばらだった拍手が段々と大きくなってきた。次第に歓声が挙がり、コボルト族の士気が高まる。


 ふう、何とかなった。


「同志諸君! 諸君には力強き味方がいる。最古の種族ドラグーンだ! 私はこれよりドラグーンとの交渉に赴く!」


 歓声は轟音になり変わる。


 ちょっと言い過ぎたかも知れない。


 隣でアーサーが正々堂々と立っていた。風格あるなあ。さすが士師だけあるね。


 さて、行きますか。


 ルクスが感付いた様子で囁く。


「ドラグーンの長共には気を付けて下され。力勝負になったらアーサーでは勝てない。まあ、あなたなら楽勝かも知れないさね」


 ここにも勘違いの一人がいたよ。コボルト族はアダムの末裔を過大評価し過ぎる嫌いがあるみらいだ。


「長共と言うのは?」

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