第150話 刻印の限界点

「無理とは? ウリエル様」


「いんがりつにかんしょーしすぎることを神様は望んでいないのー。たとえ、アダムのまつえいでもねー」


「ふむ、神は厳格な御方だ」


 ルクスは納得して引き下がった。


「だが、コボルトの救出には使える筈だ。慈悲深い神でもある」


「しかし、良いのか。そんな大きな手札を使ってしまって」


 アラゴンがたしなめる。すると逆にファウストは説得にかかる。


「いや、むしろ、我とルクスが戦闘不可に陥る方が危険は遥かに大きい。最悪の場合、死の王と相対出来るのはアーサーだけになるぞ。未来ある若者をむざむざ死なせるのが良策と言えるか?」


「そうか、私の思慮不足だった」


「良い、ファルマコ殿の刻印は誘惑的だ。強大な力には誰もが魅かれるものだ。だからこそ使い道を誤ってはならんのだ。慎重に参議を重ねることをすすめたい」


「では、一旦解散じゃな」

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