第143話 第一の刻印

「止むを得ないか。三人で攻めることにするか」


 柔軟性があって良かった。これでどの位勝ち筋が見えてくるのだろう?


「実際、どの程度の勝算を見込んでいますか?」


「実際は高くはない、とだけ言っておこうか。向こうは優秀なクリストティノスなのだろう? 戦略の立て方から攻防戦まで一通り学んでいるとみて良い」


「確かに……」


 メランコリアさんは経営の専門家であったのを思い出した。他にも動画編集をこなしたり、農業をこなしたりの何でも出来てしまう人物みたいな典型例だ。


 彼に以前貸した「スピキオとハンニバルの物語」を彼は難なく理解していたのを思い出していた。カルタゴの雷光は挟み撃ちの戦略のみにあらず。食や気候が戦争に関わってくることを証明した人物だ。


 もしかしたらまずいんじゃないかな? 今頃ソドムはどうなっている?


「ウリエルさん、千里眼でソドムの様子探ってくれない?」


「えー、めんどうだよー。奇跡だってただじゃないのー」


 ここが刻印の第一の使いどころか。

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