第37話 あの時のアガリはこういう伏線だったのか

「アーサー、君は士師なんだ。世界を救う者。対して僕はアダムの末裔と言っても一介の人間なんだ。変にかしこまらなくても良いんだよ」


「はい、ではどうお呼びすれば?」


「ファルマコはこれからアーサーを鍛えるからししょーがいいねー」


 え? 急に何言ってんの? ウリエルが講釈を垂れる。


「ファルマコはクリスチャンになるために十何年もべんきょうしたの。神様のちしきを学ぶならファルマコがよいよねー」


 いやいや、天使の方が適格じゃん。何で一介の人間にそんなこと押し付ける訳? それとも何ですか、面倒臭いのですか?


「ファルマコ、さっき、まーじゃんで負けたよね?」


 なるほど、あの時のことはこの為にか。


「では、師匠。宜しくお願いします」


「ああ、うん……」


 不本意ながら負債は負債だ。返すまでこの手を使われるのだろうな。いっそのことソドムが崩壊すれば話はなかったことにもなったかも知れない。悔やんでも仕方ない。


 大祭司には顔を憶えられてしまったからには機密情報の類はもう手に入らないとみて良いだろう。


「次はどこへ行こうか」

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