第7話 調理

「これが、カレー・・・・・・」


今の今までずっと地下の牢獄に閉じ込められていたので、お腹が空いていると思った僕は、早速屋敷の厨房を借りて3人分のカレーを作った。ちなみに、僕の分とカレンの分とカルイさんの分だ。

ハーンブルク領の首都ーシュヴェリーンで暮らしていた頃から何度か料理はしていたので、材料と道具さえ揃えば1時間足らずで作れる。

料理が完成するまでの間、カレンには僕が兄さんに頼んで特別に用意してもらったお風呂で身体を温めてもらいつつ、カルイさんが用意してくれた服を着てもらった。


そして、カレンがもろもろの準備を終えて戻って来た頃には、ハーンブルク領の名物料理の一つカレーが完成していた。

初めて見る料理だったようで、始めのうちはどうやって食べるのかすらわかっていなかった彼女であったが、一口食べて味がわかるとすごい勢いで食べ始めた。


「どう美味しい?って、その様子じゃ聞くまでも無いか。」


「・・・・・・」


そんな彼女の様子を見ながら、僕もスプーンを使って食べ始める。


「この料理はね、兄さんが編み出したやつなんだよ。昔から昼食や夕食で色々な料理を作ってくれたけど、その中でも一番のお気に入りなんだ。」


「あなたのお兄さん、政治だけじゃなくて料理もできるのね。」


「うん、何でもできるすごい人だよ。」


兄さんは昔から、世界中の色々な所から食材を取り寄せて料理するのが大好きな人だ。

名前も知らないような食材もあったが、兄さんが作ってくれた料理はどれも美味しかった。

そして、僕も料理を作る事にハマり、僕風にアレンジした料理を何度か作っていた。


「こんなに美味しい料理、王家のディナーにも出なかったわ。一体どうやって作っているの?」


「大した事はしてないよ。まぁただ、貴重な香辛料をふんだんに使っているから、作ろうと思ったらお金がかかるかな〜」


食事を食べる時は、値段の事を考えないのが美味しく食べるコツなので、考えないようにしているが、かなり値が張るのは確かだ。

でもそれは現状の話、兄さんの計画では領民全員が食べれるぐらいまで香辛料の価格を落とす計画があるらしい。


「香辛料・・・・・・もしかしてこれ、全部香辛料なの?!」


「そうだけど。」


「すごいのね、ハーンブルク領って・・・・・・」


カレンは、手に持ったスプーンを眺めながら呟いた。まだまだこんなものじゃ無いが、カレンも兄さんやハーンブルク領の凄さの一端を感じとったのだろう。


食事を食べ終え、一息付いた僕たちはこれからについての話し合いを始めた。


「で、これからどうするの?」


「とりあえず、執務室にある大量の書類を処理しなきゃかな〜」


兄さんから出された最初の課題に対する方針は決まったが、まだやらなければならない事がたくさんある。

明日になれば、別の新しい課題が用意されると聞いているので今日中にあの山を片付けておきたいのだ。

僕一人では間に合わないかもしれなかったが、強力な助っ人を得たので何とかなるだろう。


「あ〜アレね。さっきチラッと見たけどとんでもない量だったわね。もしかしてだけど、アレ全部片付けるの?」」


「うん、そのつもり。頼りにしてるよ、カレン」


「わかったわ、ご主人様」


昼食を食べ終えた、僕とカレンは早速政務に取り掛かった。お母様や兄さんほどじゃ無いが、スムーズに進めた。


初日という事でそれほど重い内容は少なかったが、今後のジア連邦共和国に関わる重要な事をいくつか決める事ができた。

まずは、国家を安定させるための布石を打って、起爆のための準備を進める。


旧サラージア王国の貴族や有力な商人の情報が乏しかった僕は、カレンからのアドバイスを参考に、行動パターンを分析し、誰に何を任せるのかを決めていった。


そして・・・・・・


「終わったっーー」

「ふぅ・・・・・・」


「お疲れ様でした、ユリウス様、カレン様」


何とか、夕食までには終わらせる事ができた。

気を利かせたカルイさんが持ってきてくれた砂糖たっぷりの紅茶を2人で飲む。


初日としては順調なスタートだった。同時に、カレンと一緒なら上手くいくと思った。



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どうでもいい話


のほほ〜ん回もあってもいいかなと。

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