グロリアスター 歴史に刻まれなかった者たち——The ARDAMAS UNIVERSE——

N・オオハシ

プロローグ 

過ちは、常に繰り返される。

 これから生み出される世界も、同じ過ちが繰り返されるのだろうか。

 多くの世界を生み出し、その世界一つ一つ、全ての終焉を迎える最後の時まで、私は数多くの物語を見てきた。

 神と獣、両方の側面を持つヒトという名の種族。彼等の紡ぐ世界は、絶望があり、希望があり、とても不器用なものであった。

 永遠に、お互いを完全に分かり合うことなく、星の――その世界の運命とともに、虚無へと散っていく光景を幾度となく見てきた。

 終わらない、救われないこの世界を、私は最善の答えに導くべく人々に手を差し伸べた。

 だが、結局は同じ絶望に、世界の未来をねじ伏せられる。

 もう、いいのではないかと、何度も思った。

 どうせ、同じ結末を迎えるのなら、世界の正解にたどり着くよりも、世界の誕生を断ち切れば楽なのではないと、思った。

 だが、それは私の心がそれを許さなかった。

 そう思ったのは、かつて人間だった私の心が、今の私に沁みついているからだろうか。

そもそも、はじまりはどちらからだったろう。

人か、人ならざる者か。

一億も同じことを繰り返していると、始まりの記憶の引き出しを引き当てるのも億劫になる。

 だが、こうした人間臭さが、私がかつて人間であったことを示している。

 

――行こう。

 

最悪の結末が待っているとしても、私はこれから新たな世界を創り出す。

 そして、その結末を乗り越えた先の世界を、私は繋ぐ。

 そして、私と彼との愛の続きを、紡ぎたい。

 

 ただ、それだけだ。


 一億と一回目のこの世界には、どんな物語が待っているのだろうか。

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