第5話 秋の暮れ
「秋の暮れ」
ひと気のない校舎を
トボトボと歩いていた
長い長い廊下を
トボトボと歩いていた
西の空から秋がやってきて
窓ガラスを真っ赤に染めていった
教室も廊下も僕自身も真っ赤になって
その幻想に見とれていた
もうすぐ秋の闇がやってくる
ぞっとするほど暗い冷たい闇がやってくる
僕は足早にその場を去ろうとしていた
それでも僕はオレンジ色の光線に見とれていた
秋の暮れはもの悲しくてさびしくて
それでも美しくて切なくて
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