人間になりたい

@underboze

第1話 足掻く

人間になりたい。


人と関わる度によく願ったことだ。

母は私が健康に生まれて良かったこと、

テレビで最近流行ってるらしい発達障害じゃなくて本当に良かったと。


こないだ二人でいる時に言われ胸が傷んだ。


私は今年で31歳になる注意欠陥障害と自閉症をもつ女だ。現在は仕事もせず旦那とこどもと3人ぐらしだ。

診断は3年くらい前だっただろうか。

生まれて物心つくようになってからなんとなく自分は周りの人間と違うと思っていて

それを特別だと思い込み勘違いだとわかったのは遅かった。

高校を卒業したら自分は仕事をたくさんこなして、

皆から頼りにされる存在になりたかったし、やる気マンマンだった。

でも想像していたのとまったく逆だった。

周りのみんなは自分以上に努力してるから自分も頑張らないとと張り切るほど周囲からやる気がないと罵倒され、仕事も与えて貰えず泣く泣く会社を辞めてしまった。

それからは

コンビニバイトやらティッシュくばりやら色々したがなかなか仕事が長続きせず

派遣の短期バイトで食いつなぐようになっていた。

寝に帰る家がない時は

派遣用にスーツとストッキングとヒールをリュックに入れ、いつ雨が降ってもいいようにビニール傘を片手に持って行動していた。


仕事がないときは

昼はショッピングモールのベンチにずっと座り、

夜は24時間あいてる飲食店で仮眠をとっていた。


定職につかないので基本的にお金がなかった。

明日はごはん食べれるかなとケータイで短期バイトの求人を血眼になって半日以上かけ探し1円単位で

お金のやりくりを考えるのが日課になっていた。


遠方の現場に決まった時は前もって用意していた電車賃が足りず派遣の営業に来てもらい前借りするということもしていた。

本当に危ない時は通りすがりの抵抗できないようなお年寄りを見ては何かを企んでやってしまおうと思う事はよくあった。

…思うだけでなんにもしてないけど。

毎日の行動自体はなんてことはないが、

とにかく生きるのに必死だった。


そんな私も

付き合っていた彼氏とこどもが出来て結婚して生活するようになった。

それからは

頑張って家族の為に働いてくれている旦那には頭があがらないと今でも思っている。

旦那がいなければよくて生活保護にお世話になっていたか、

悪ければのたれ死にしていたかもしれない。

こどもが出来て自分的には色々と結果オーライだったと思っていた。

昔から憧れていた、

結婚してお嫁さんになってこどもを生んだら

人並みに幸せに暮らせるんだと思っていたから。








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