きっと…出会いは運命

白雪凛

1

あぁ……やっぱり微妙だな……。

少女は作成中の音源作成の作業を止め休憩をすることにした。

はぁ〜どうして上手くいかないんだろうなぁ〜。

苦手な恋愛曲。

人気の曲をたくさん聞いてコード進行だって分析して、言葉の使い方だって研究した。

それなのにやはり納得のいく曲を書き上げることができない。

1番仲の良い友達のちかに聞いてもらった時も、メロディは良いんだけど歌詞が入ってこないと言われた。

やっぱり”恋”をした事がないのに空想で歌詞を書いているのがよくないのかなぁ。

うーん。

でもクラスメイトでそう言うことを想像してみたが、1ミリもピンと来なかった。

気持ちを切り替えるため、大好きな曲を再生する。

”紺碧”という人が2年前にあげた曲。

彼は私とは違って恋愛曲がとても切なくて耳に残る。

あぁ本当に良い曲だなぁ〜。私もこういう曲を作りたい。

曲聴き終えるとまた音源の作成に戻った。



うーん……。

眩しさで目を覚ました。

身体を動かそうとしたが机の上で寝てしまったため、あっちこっちが痛い。

なんとか身体を動かして時間を確認する。

“8:00”

やばい……。

まだ覚醒しきっていない頭でもわかる……遅刻する……。

急いで制服に着替え、鞄を持ってダッダッダッダッと大きな音を立てながら階下へと降りて行く。

「お母さんなんで起こしてくれなかったの!!」

洗面所で顔を洗い、髪をセットしながらリビングにいるであろう母に文句を言う。

「もう高校生なんだから自分の力で起きなさい。昨日も夜遅くまで起きていたようだけど。順位落としたら、わかってるわね!」

「はいはいわかってます。じゃあ遅刻しちゃうから」

そう言って私は朝ごはんも食べずにそのまま玄関へ向かう。

「はい」

そう言うと母がお弁当とこれもといって朝ご飯用のサンドイッチを玄関まで届けに来てくれた。

「お母さんありがとう。それじゃ、行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

玄関を開けると自転車に乗った幼馴染の”臣向陽おみこうよう”が待っていた。

「ほら早く行くぞ」

「コウくん先行ってても良いんだよ」

そう言ったものの向陽は「まだ間に合うからな」といい自転車の後ろに乗っけてくれた。


教室へ着くとちょうど始業のチャイムがなった。

「セーフ」

「かなっ!おはよー。相変わらずギリギリだね」

「ちかおはよー。気づいたら寝落ちしてた」

「また寝落ちしたの?」

ちかは少し呆れたように笑う。

ガラガラと教室のドアを開ける音が聞こえ担任が入ってきて会話は中断された。

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