8回目26
今日は英雄ギルドは休みだ。コルナは受付に待機しているが、俺は出迎え組だ。俺の近くには真理、史香、野子、銃子、エマがおり、他はサヤの家で待機だ。
二日しか経ってないので、未だにぎすぎすとしている。
とりあえず警戒派は二階堂を捜す形で、中立や擁護派、よく分かってない派はひとまず待機という形だ。
俺は擁護派なのだが、諸処の事情があって、探している。
時刻は正午、いつこっちの世界に来てもいい頃合いだ。
そんな時、天から光が降り注ぐ。広場の真上から円のような形で。
丁度近くにいた俺達はあまりの眩しさに俺は目を瞑ってしまう。
数十秒ほど続き、目を開けると、二階堂 翼が立っていた。
相変わらず息をのむほど美しいと、男の俺でも思ってしまう。まるで天使が空から舞い降りたようだと。
俺は主人公だが、翼のようなど派手な登場はなかった。
なんてうらやまだが、同じ演出で、でできたのが俺だと、不況をかってしまいそうで、やっぱり普通でよかった。
他の人たちも唖然としていた。開いた口が塞がらないと。
「えっと、此処って何処かな」
頬をかきながら翼は爽やかに言った。
「ようこそ、英雄ギルドへ、ご用件は何でしょうか」
「地球と言う所からきました二階堂 翼と言います。同郷の真理さん達から此処にきた方がいいと言われ、来たのですが」
「今日来た方ですか。まずはこの世界のことについて説明させていただきます」
窓越しから俺達は二人の様子を見ていた。別段翼に変わった様子はない。
「やっぱり翼は違うんでねえか」
「べたべたに主人公主人公していてくさくさですけど」
「あれは違う生き物ですなー」
「くっ!撃てない」
「違うような気がする」
俺達はすっかり翼は魔王じゃないと思った。
「そう、固定するのは危険だ」
唯一人真理は厳しい表情を浮かべる。
「気づいてたかい、あの光の演出は、間違いなく翼の仕業だ」
「それは、おかしいだ。来る前に魔法を使えるなんておかしいだよ」
「のこのこもブッコロリー先輩と同じで、いとおかしですよ。のこのこがみた感じでもトリックはなかったですよん」
俺と野子は反対する。
「邪神と話し合って決めたのだと予測できる。気づいた点は二つ、まず来た時に動揺が一つもなかった点。普通は一瞬にして知らない土地、周りのものが誰もいなくなった事で少しは動揺するものだ。だけど、翼の瞳には動揺の色はなかった。まるであらかじめ知っているかのように。そして二点目は」
真理はそこで言葉を切る。
どうやら、翼とコルネの話が終わったみたいだ。
「いいかいブータン。なにを言われても二人っきりで会うのは駄目だよ。おそらく」
「ありがとうみんな。おかげでこの世界のことがわかったよ」
そう翼が声をかけてきた。
それから真理と史香は翼の呼びかけで、案内してもらい俺達三人はコルネの元に向かって翼のステータスを見せてもらうことにした。
といってもコルナからの口頭で、本来なら他人のステータスを教えることは禁止されているが、状況が状況なので、特別に教えてもらう許可をもらっていた。
「あんな人がいるなんて驚いたわ。いい、今からいうことは紛れもない事実よ」
名前:二階堂 翼
種族:人間
職業:
称号:完璧超人
ステータス
筋力:1
敏捷:1
体力:1
知力:1
魅力:1200
生存人数3/3
貢献度1(3位)
スキル
マスター級全属性魔法(熟練度100)
マスター級魔剣術(熟練度100)
マスター級思考術(熟練度60)
コルナの手足が震えている。コルナが翼に不信感をもたれないようちらっと見て、覚えているところだけでも、ぐうのねもでないほどのチートだ。
魅力が俺の百倍って・・・・・・えっそっちじゃない。
もし翼が魔王だと思うとぞっとする。
さしもの野子達も顔を青くしていた。
マスター級が三つ、しかもスキルも最上級のものがそろっていた。
勇者ならこんなに心強いものはいない。
勇者ならばの話だが。
残念ながら、魔王説が有力となった。ほんとに信じたくない。
あの優しい翼が魔王なはずがない。
しかし、邪神から能力をもらってないと説明できないマスター級全属性と魔剣術。
きっと神がくれたものだろう。そうに違いない。
俺はそう思うことにした。
しかし誰もそうは思っておらず、コルナも本部に連絡し、野子達は俺を守るようにして、サヤの家に帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます