8回目24

あの騒動からはや半年が経過した。




 ダズニーランドは盛況で連日、国内はもとより国外からも人が押し寄せてきている。




 行商人は今や国内で三本の指に入る大商人となり、京夜は億万長者となった。




 俺もそこそこお金はある。二人には負けるが贅沢をしなければ一生暮らせる金額。




 なのにもてない。




 おかしい、お金さえあれば、『多少』容姿が悪くてもモテモテのハーレム状態のはずだ。




 奴隷を買う計画も駄目になった。




 行商人が王家御用達となり、醜聞が悪くなる奴隷が変えなくなったことと、京夜から禁止されたからだ。




 俺の熱いリピドーは暴発寸前だった。




 それはもう、飢えに飢えた肉食獣のように、女の人なら襲いかかる勢いだった。




 あのときはもう末期だった。




 肉肉肉状態で、そのことしか考えられなかった。




 奴隷を買うことができなくなった時の頃だ。




 さすがに危険だと思った京夜と行商人はお互いに話し合い、きれいなお姉さんを呼んでくれた。




 夢のような時間だった。




 まさに極楽浄土。




 ロスト・オブ・チェリー、ビューティフル・ワールド ヤッホー サイコッチョーーー。




 彼女のためなら俺は死ねる。




 彼女と会う前の俺は死んだ。今の俺はニューブータンだ。




 そうそう、彼女の名前はチルチナ、普段は王都の高級娼館で働いているらしい。




 近い内に会いに行こう。




 チルチナには、王族が使っている最高級の化粧品をプレゼントした。




 そして彼女はお礼に妖艶な笑顔を向け・・・・・・おっとこれ以上は話さない。




 ノクターンいきになってしまう。




 心なしか容姿のレベルもあがったように思える。大人の余裕って奴か。がつがつも無くなり、野獣の目も普通に戻った。




 話は変わるが、二ヶ月前にサヤ達が帰ってきた。




 あの状態で会わなくて良かったと心底思う。




 サヤは身長が150センチほどまで高くなり、元気いっぱい小悪魔幼女から、少し大人になった美少女に変貌していた。




 お小遣いをやろうとしても断られた。それが一番の衝撃だった。




 あずさは男性恐怖症が少し改善され、俺とも数分程度、世間話を交わせる様になった。




 史香は変わらず、来た夜にテストを行い、五十問中四十五問正解だったが、合格ラインが四十七問だったので罰を受けた。九割正解したのに、なんて日だ。やはり史香は史香だった。




 新メンバーの永遠は元気少女で俺とも気さくに話してくれた。彼女ははムードメーカーの役割で、彼女がいるだけで暖かくなる。




 真理はミステリヤスな魔女系な印象だ。一つ話すと十理解し、アルカナで出会った女帝と雰囲気が似ている。解剖したいと言われたときはさすがにビビったが。




 ターナを含めこの世界の新メンバーが増えている。全て女性だが。




 はれてS級になった史香達のパーティーはクランを結成し、『薔薇の園』や『アスタリスク』と並び三大女傑クランと呼ばれている。




 京夜とあった時、修羅場になったが、何とか生き延びた。あれは思い出したくもない。




 三十歳は老け込んだ気分だ。体重は全く減らなかったが。




 そして二週間前に野子達が帰ってきた。




 野子は変わらず、全く予想がつかないぼけをかまし、あの京夜ですら言い返せず全く違う生き物をみるような目だった。




 一緒に来たのはガンマンと真祖の二人。言ってなかったが両方とも女性だ。




 ガンマンこと神田銃子。寡黙で自由を愛する女性、学生時代も『西部が私を呼んでいる』と一ヶ月近くふらっと出かけたり、『撃ち足りない』と韓国まで射撃しに言ったりと、かなりぶっとんでいる。学校でも愛用のテンガローハットとスカートの中には3Dプリンタで作った愛用の銃を忍ばせていた。




 真祖事エマ・ウォーカー。日本人とアメリカ人のハーフで、外国人特有の間違った覚え方をしていて、エマ特有の感性も相まってカオスになる。




 刀大好きっ子で家には『刀コレクション』と称して五十本ほど所有している。




 口癖は『今宵の子鉄は血に飢えてますなぁ~』で、一番愛用している子鉄をどこからともなく出し。




『ブッコロリー先輩、ハラショーしますか?」と決まって迫ってくる。




 ハラショーとは切腹の事で、切腹してもヒールを唱えれば回復すると思ってるらしい。




 怖っ、普通に死ぬんだな! と毎回拒否していた。




 そして、今日はサヤの家の大広間に一同が集まっていた。




 今日は第八回対策会議。いよいよ二日後に二階堂が来る日が迫っていた。










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