7回目01
死んだ?
7回目だ。
一日も経たずに?
最短記録だ。
ニューワールドレコード達成。
ってそんなことはどうでもよくて、何故だと俺は思う。
サヤに殺された?普通に話していただけだった。サヤは記憶を持っていて、俺が死んだ後の話をしてくれた。
肝心の最終決戦の話の途中から記憶がない。
そういえば。最後に言ったサヤの言葉が耳に残る。
理由は分からないけどサヤの顔は真剣だった。
サヤの事は憎んでない。そりゃあ、殺されてびっくりしたけど。
それよりもコルナと会うことの方が怖かった。
本当は行きたくなかったが、やっぱり先立つものが必要で、自然と足は英雄ギルドに向かっていた。
手が震える。スマホの振動みたいに。5回目の時も震えていたけどその非じゃない。
耳を食うなんて、どんなハンニバルだよ。女版○クター博士かよ。
火事場のバカ力~。
そして扉を勢いよく開け、勢い余ってずっこける。
うんかっこわるい。
そして俺は顔をあげフリーズする。
受付の人はコルナじゃなかった。
少し吊り目で、学者系の顔立ち。年は三十ぐらいに見える。。コルナが美人6カワイイ4ならこっちは美人8色香2だ。ハーフリムタイプの眼鏡、髪は黒色で肩下まである髪を編み込んでいる。目の下になきぼくろがあり、俺の好みドストライクだ。
ナイスですねぇ~。
そして何より受付の服ではなく、白衣を着ている。
はっと我に返る。
というかコルナはどうしたんだ。
「なにやら訳ありのようだな異邦人よ。実に興味深い。立ち上がって座るといい」
見透かしたような目だ。
吸い込まれそうだ。
「おっお手柔らかにお願いしますだ」
きっと俺の顔はだらしなく弛んでいるだろう。
ちっ、絶対領域か。
顔を上げて、座っている女性のスカートの中は見えなかった。
「ふむ、実に興味深いな」
燃え尽きた俺。尻の毛まで抜かれた気分だ。
あれから五時間が経過した。
女性の名はテトラというらしい。質問上手の聞き上手の話し上手。俺のたどたどしい説明にも、うまく変換して、俺の言いたかったことを代弁してくれた。
俺が話して、テトラが変換して、俺が頷き、所々でテトラが質問し、俺が答え、テトラが変換して、俺が頷く。大体がこんな感じだ。
テトラには生まれたところから今まで、全部知られた。もちろん俺のループの事も。
「おそらくブータンの固有能力はループ系で間違いはない。しかし、世界は何回か変わっている。スタート地点は同じだが、所々で違和感を感じなかったか」
言われてみれば、気になる点はいくつかあった。
というか何で今まで気づかなかったんだろう。
5回目のサヤの最後の言葉『世界は何か聞いて』と言われていたのに、今の今まで忘れていた。
「それは世界の修正能力だ。気付かずそうだと思ってしまう。国や世界の事について、その時その時で聞く場面はいくらでもあったはずだ」
思い返してみると、一回目と二回目、そして五回目と、少なくても三回は世界が違っていた。というか国の数も違う。
「ちなみにこの世界『アルカナ』と言う。国の数は二十二だ。最も最初の反応だと聞いたことはないみたいだな」
聞いたことはなかったので俺は頷く。
テトラの唇端が三角につり上がる。
「本当に興味深い。このような固有能力は初めてだ。おそらく死亡時に何か願ったはずだ」
そう言えばと俺は思い返す。
一回目の死亡時には、サヤに搾取され続け、金欠だったのでお金があったらいいなと。
3回目の死亡時はブラッディベアーをどうにか攻略して、あずさを助けようと
そうすると4回目の死亡時もそうかもしれない。話してしまって俺と同じようにループするかもしれない、その時攻略本みたいに最終決戦までのおこる出来事を教えてくれないかなと。
そして今回は、サヤもコルナも怖っ! でも誰か相談役が欲しいと。
「おそらく、死の間際の願いが世界に適応され、それに沿った形で、平行世界へとループされた。まさに神の所行だな。しかしそれにはデメリットもあった」
どこからかテトラは黒板を持ってきて、十字の線を書く。
「願いの大きさによって、それ相応に難易度は変わったのだろう。それが国の数によって反映された」
テトラは、Y軸に国の数、X軸に回数と表示し、点を書き、それを線にする。
「異邦人風に例えるなら、1回目はイージー、2回目はノーマル、4回目はハード、今回はエクストラと言った所か。他は定かではないが、少なくても5回目は今回よりも難易度は高いのだろうな。ヘルモードと言ったところか。未来の事を全部教えてもらおうとするなんて、強欲だな。だから世界が壊れていると表現したか。安易な道は破滅を招く。サヤとやらに感謝した方がいい。おそらく数分後にはブータンの存在は喰われ、ゲームオーバーだ」
俺は身震いする。ゲームオーバーと言うことは、ループはなく本当の死。
腹の虫も出てきた。って単純に腹が減っただけだが。
「ありがとうございますだ」
テトラには本当に感謝している。
帰ろうとする俺を。
「まぁまて」
テトラは引き留める。
「これだけ教えたんだ。対価が必要だとは思わないか」
なんだか嫌な予感が。こう言うときに限ってよく当たる。この世界にきてからは特に。
動こうにも動けない。
「おっおら、お金を持ってないだ」
「なに、お金は必要ない。言ってはなかったが、この国は『女帝』と呼ばれている。そのトップは私だ」
汗がだらだらと流れる。考えうる中で最悪のケース。国のトップに重大な秘密を喋ってしまった。良くてモルモットだ。
「なに、十年ほどばかし実験に付き合ってもらうだけだ」
意識が・・・・・・。
「ブータンの意識は必要はない。簡単だろう。起きたら最初の世界に行くよう設定しよう。破格の条件だと思うがな」
無くなっていく・・・・・・。
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