そして、俺は画面を閉じた

 翌日。俺は会館に出向いたが、鷲本さんの姿を見ることはできなかった。





 会館で、機種変更のサポートをしてくれた会員歴4年の川島海さんに聞いてみたところ、意外な答えが返ってきた。

『ああ、鷲本あずささんは今日、浜松支部に行かれているよ。何せ、会長さまがご期待されている広報担当のエースだからね。毎日、各支部道場をまわって勧誘されているんだよ。先月、会長さまに功績を認められて、高等会員に昇格した凄いお方だ。もう皆の憧れさ。君は運が良かったようだね。これもガラパゴス大聖人さまの御利益かな?』




 まぁ分かっていたさ。文字通りの高嶺の花ってわけだ。

 あの美貌に加えて優しく、努力家で、高等会員だなんて…。当然、彼女に好意を寄せる男性会員も後を絶たない。あの微笑みは所詮、宗教ビジネスの一環だったのだろう。



また会えるのだろうか。俺が高等会員にでもなれば、声をかけることが少し容易くなるのかな。ビジネスでもいい。俺はもう一度だけで良いから鷲本さんの姿を目に焼き付けたい。







 机の端にひっそり佇むガラケーを開く。画面を覗くと1着、宛先の分からないメールが届いていた。恐る恐るメールを開く。そこには_________









 俺はそっと、その短い文章に鍵をかけた。













     

   






 




 

 

 

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ガラケー学会員の鷲本さん ませがきぃ @maseratighibli

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