第110話

クッソ!!バカ杉山

こんなのモロに喰らってたらまじで死んじまうとこだったじゃねぇか!!

絶対文句言ってやる!!


愚痴った所で俺のバリア展開スピードが上がる訳ではない

そして、ついに…

最後のバリアが破壊された


………


俺はギュッと目を瞑り、歯を食いしばる


………


あれ?痛くない?


爆煙が晴れていく

光にやられた視力も回復してきた

聴力は?駄目だ!まだキーンって鳴ってる


杉山「おいおいまじかよ…無傷って、そんなのありかよ…」


杉山が笑いながら何か呟く

バチッと目が合う


杉山「ば・ー・か!!」


今度も声は聞こえなかったが口の動きでなんて言ったか伝わった

そのまま杉山は限界を迎え後ろに倒れる


勝った…のか?


音が聞こえなくても皆の反応を見れば分かった

俺は勝ったんだ

正直紙一重だった

内容だって褒められたもんじゃない、ただのゴリ押しだったし

それでも勝った

それだけの事がただただ嬉しかった


第3試合は武本対桜井


実力差は明らか

杉山と違い霊力が増えてるって事はない

経験の差もある

はっきりいって桜井に勝ち目はない

そう思っていた


だがそんな予想を裏切るように試合が始まってから桜井の猛攻が続いた


霊装武器の長杖と身軽さを活かし杖身一体の攻撃を繰り広げる

杖の長さを自在に変えながら緩急をつけながら上下左右、全方位からの攻撃する


両手で持っている事により霊弾等の術が使えない事が懸念されたが、杖自体を術の発動体とする事で解決していた


これだけの猛攻に霊弾も使われると流石の武本も防戦一方となっていた


だが何か違和感がある

何だ?


あの好戦的な武本が我慢して防戦をしている事か?

いや違う、もっとこう…


そうだ。キレイすぎるのだ

武本の防御が最低限の動きでキレイに纏まっている

元々自主練をする奴だから型にハマった攻撃は得意だった

防御も型で練習したって事か?


そんな攻防が続くと思われたが勝負は一瞬でついた


武本の防御を崩す為に桜井は手を変え品を変え様々な攻撃をした

だがそのどれもが防がれる

しかも同じ様な攻撃をしてしまうとすぐに反撃される


そんな状況が続けば焦るのも当然

焦りから多少のミスをしてしまっても仕方ない


だが武本はそのミスを見逃さなかった

桜井に隙ができた瞬間、構えた薙刀から最速の突き

ただの1回の攻撃で勝利を収めた


強い、かなり強い

しかも手の内を隠したままでこの強さ

どんな想いでどれだけの修行をしたのか?

俺には想像がつかない


第4試合は藤原対黒川


黒川も霊力量が増えていた

そりゃそうか、杉山がやるなら黒川もやる

だよな?


一体どんな戦いになるのか、俺には想像が付かなかった


試合開始と同時に藤原が仕掛ける

無詠唱による霊装展開をしながら一直線に走る

意表をつかれた黒川だが、すぐ短縮詠唱で霊装展開した

だがもう遅かった

気付いた時には目の前に霊弾が飛んできていた

それを上手く防いだと思ったら首筋には双剣が当てられていた


桜井も黒川も決して弱かった訳じゃない


でも勝った2人からは戦いから明確にメッセージが伝わってきた


阿部おまえを倒す、手札は見せてやらない」


と。


なら全力で相手しなくちゃな!!

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