第102話

通常の霊弾3つは顔面へと集め、ステルス霊弾は足下へと放った

どんな避け方をするにしても両方を避けるのは難しいはずだ!


通常の霊弾は試験官まであと2メートル辺りの所で試験官が霊弾を放ち相殺

その間にステルス霊弾はあと1メートル辺りまで近付いた


――当たるっ!!


そう確信した直後、試験官がピクっと何かに反応しステルス霊弾を避けた


「まじかよ…」


思わず冷や汗が流れる

相手も霊力センサーが使えるってことか?


試験官「お前、阿部って奴か?」


「…!?」


いきなり横から声が聞こえて思わず息を飲んだ

確かに今、俺は考え事をしていた

でも試験官から目を離していないし、霊力センサーも使っていた

ならなんで見失う??

霊装展開してんだぞこっちは!!


動揺を隠す為になるべく強めに返事をする


「だったら何ですかね?」


試験官「なるほどね。ふぅーん」


ニヤリと笑った後、値踏みでもするかのようにジロジロ見てくる


試験官「いっちょ本気でやってみようか?あー大丈夫、俺は手加減するからさ」


相手は上級レベルかつ大先輩だ

勿論勝てるなどとは思ってない

でも俺だって上級の鬼龍院や他の先輩達を倒してきた!

それなりにやれる自負がある!!

ここまでコケにされる覚えはない…


「学生相手に怪我しても不合格にはしないでくださいね」


怒りを抑え精一杯の挑発をする


試験官「怪我なんて言わず殺す気でおいでよ」


1度霊装を解除する

最近は霊力変換率を全力で使う事が殆ど無かった為、大抵5割で抑えていた

今こそ全力を使う時!!


「霊装展開…」


先程までとは比べられない程の力が湧いてくる

なんだって出来そうな無敵感


いくぞ…


地面を蹴る

周りが止まっているのかと錯覚するほどのスピード感

それは試験官も例外ではない

俺の1歩に対し、試験官も1歩後ろに下がる

そんなの関係なく距離を詰める

手を伸ばせば触れそうな距離、勢いそのままに回し蹴りを放つ


もらった!!


試験官の肩に当たった!!

と思った直後、左足は空を切った


試験官「はい。1回死亡ね」


さっきまでそこにいたはずの試験官が俺の頭に銃の形にした指を当てていた


「クッソ!!」


慌てて距離を取り頭をフル稼働させる

おかしいだろ!さっきまで全然遅かったのになんで急に消えるんだよ!

陰陽術?霊装?身体能力?

クッソ!分かんねぇよ!!

どれにしたって俺にやれる事は限られてる!


まずはどんな形でもいい!

攻撃を1発当てるんだ!!


「くらえぇ!!」


視界を埋め尽くすほど霊弾を連射する


「どうだ!?」


試験官「残念!2回死亡」


試験官は無傷でまたもや俺の頭に指を当てる


敢えてゆっくり攻撃したり、近接と霊弾を組み合わせたり、霊装武器を振り回したりと色々やったがどれも不発


「はぁ…はぁ…クッソが!!」


試験官「もうやめとく?」


「まだだ!!」


1発!1発だけでいいんだ

このまま触れる事も出来ずに終わってたまるかよ!!

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