校内選抜大会編ー閑話
私の名前は
人生のモットーは「楽しく生きる」だ
正直言って陰陽師になんてなりたくない
死と隣り合わせの仕事なんて普通嫌でしょ?
そう思うのは私だけじゃないはず
でも家が陰陽師の家系だからっていうだけで私にはそもそも選択権なんて存在していない
だから適度にこなしてサポート課にでも配属されよう、そう思っていた
そんな私には”ギャル”というのはとても眩しく見えた
まさに楽しく生きるの代名詞の様な存在
だから私も中学に入学すると同時にギャルになった
周りには同じ様にギャルの子達が増えた
皆が彼氏を作ったから私も同じ様に彼氏を作った
劇的な何かがある訳じゃないけど、毎日がそれなりに楽しかった
でもそんな日々はあっという間に過ぎて、私にとっては苦痛の高校生活が始まった
全寮制で中学までの友達とも遊べない
そりゃ生活面では破格と言えるけど…
でもクラスメイトだって気が合うような奴は1人もいなかった
せめてもの救いは夏休みになれば家に帰れる事、その為だけに日々を過ごした
そんな私に転機が訪れた
勿論それはあの事件だ
陰陽高校岡山支部襲撃事件と呼ばれたそれだ、今となっては生徒が誰も死なずによかったね〜。なんて言われてるが胸糞悪い
あの時私は本当に死を覚悟した
というか死んだと思った
霊力が枯渇する寸前まで使ったのなんてあの時が初めてだし、そこまでしても何も出来なかった。という絶望感は未だに忘れられない
生まれて初めて強くなりたいと思った
あんな訳の分からない存在に訳の分からないまま殺されるなんて御免だ!
そんなのは絶対に楽しい人生じゃない
でもそこで思い出す
あの絶望感を
そして自分が並級だと言う事を
何もかもやる気がなくなった
ただそんな中でもテストだけは頑張った
家に帰れるチャンスを棒に振るのだけは勘弁したい
両親の顔を無性に見たくなったし…
そしてなんとかテストもクリアした頃、私の人生観を変える出来事に出会った
それは最後の陰陽術の授業
級が下の陰陽師が上の者を倒す事なんて出来ない
並級の陰陽師は強くなれない
それなりの人生を送ってそれなりに死んでいく
そう教わって生きてきた
なのに”彼”はそれを覆した
それまで意識すらした事がなかった
なんだか無駄にやる気がある奴だなとは思ってたけど
実際、並級の担任が藤原を倒す場面も見ていたはずなのに、担任は大人だから…みたいな謎の理論で考えないようにしていた
だからこそ同い年、しかも私より圧倒的に陰陽術の扱いが下手な”彼”がやったことは私に勇気を与えた
私でも強くなれるのかもしれない…
それから”彼”から目が離せなくなった
夏休み中、家に帰っても”彼”の事が頭から離れなかった
久々に会った彼氏を見ても、なんだか子供のように思えてすぐに別れた
あれだけ楽しみにしていた夏休みなのに、早く終わって欲しいとさえ思った
そして待ちに待った二学期
会えない時間は彼への想いをさらに大きくしていた
私は”彼”こと阿部くんの事が好きになってしまったみたいだ
阿部くんはすぐに短期留学で居なくなってしまった
寂しいけど彼なら強くなって戻ってくるはず
私も負けないくらい強くなって驚かせてやるんだ!
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