第18話

毎日平和な日々が続く

午後からの変わった授業さえなければ至って普通の高校生活と呼べるだろう

なんなら通常の授業が午前だけって普通より遥かに楽かもしれない


今回はそんな生活を送る生徒の内の一人

1年の男子生徒?桜井に注目してみよう


桜井 はるか 15歳

名前から察する人もいるかもしれないが女である

彼女が何故男子生徒の格好をしているのかと言うと…


彼女はごく一般的(?)な陰陽師の家庭に生まれた

陰陽師の父とサポート課の母の間に生まれた


サポート課とは陰陽師になれる程の霊力を持たない者や戦闘のセンスが無い者がなる職の1つで怪異捜査班や霊具技師班など様々な分野で陰陽師をサポートするもの


陰陽師の名家と比べると感覚では一般家庭に近い

違いと言えば幼い頃から霊力の扱いなどを親から教わるくらいで

まだまともに霊力を扱えない幼少期は霊力が暴走する危険がある為、幼稚園や保育園に行く事はないが小・中学校は普通に学区の所へ通い、高校から陰陽学校に通う

陰陽学校に通っている大体の生徒はそんなものだ


なので彼女は去年まで普通に、普通の女の子として生きてきた

可愛いものが好きで、アイドルに憧れた


今でこそこんな格好をしているが素の彼女は普通に可愛い

というかめちゃくちゃ可愛い

そんな子がアイドルに憧れるとどうなるか?

昔ならいざ知らず今の時代、可愛ければアイドルなど簡単になれてしまうのだ


両親にバレた時はかなり怒られたが中学を卒業するまでと約束したのでなんとか続けられた


可愛いのだから気付けばすぐ人気になった

どんなに人気になろうが中学卒業後は否応なく進む道が決められている

活動期間はたった2年だったがコアなファンが沢山ついた

芸名が「HARUKI」だったので引退宣言した時は早く咲いてすぐに散る事から桜のHARUKIと呼ばれ引退を惜しまれた

名前は違うが顔と声でバレてしまうかもしれない、何ならコアなファンが学校にもいるかもしれない

そう考えた彼女は校長に男子生徒として通わせて貰うよう相談した

完全に自業自得だがストーカーを生み出す危険性もある為、了承された


実際この判断は正しかっただろう

何故なら黒川はHARUKIの熱狂的ファンの1人なのだから


長かった髪はバッサリと切りおかっぱに

あまり喋らなくていいようガリ勉キャラを演じた

実際は中学の間アイドル活動でほとんど勉強出来なかったので頭はかなり悪い


と言ってもやはり高校生活を1人で過ごすのは寂しいので友達は欲しい

入学初日も本当は黒川と杉山の誘いに乗りたかったがあの日はまだ女の子用の服しか無かった

制服で行っても良かったが間違えて部屋に入られたら色々と終わってしまうのでやめておいた


この学校で良かった点があるとすれば体育の授業がない事だろう

男装?女子にとって天敵であるはずの着替えがないというのはかなりのアドバンテージだ

体を動かす事はあるが陰陽術の授業は基本制服なのだ

普通の制服に見えるが特殊な糸で作られており、霊力に対する耐性と衝撃を吸収する機能が付いている


クラスの女子達に秘密を打ち明けて友達になってもらうっていうのも考えたが迂闊な事はしない方がいいだろうと考えた


そんな彼女は今日も机に座り教科書と向き合う



いい加減友達作りたいー!!

男としてでいいから皆と遊びたい!!


アイドル活動の間も友達と呼べる者はほとんど居なかった桜井は友達に飢えていた


黒川「おはよー!」


「おはよ」


黒川くんは毎朝皆に挨拶をする

彼なら頼めば快く友達になってくれるだろう

でもやはり初日断ってしまった負い目からなかなか行動に移せていない


それに彼は杉山くんと阿部くんといつも3人でいる

彼ら3人の仲に割って入る勇気はないし、杉山くんってちょっと怖いんだよな…

なんとか黒川くんだけと話せる機会はないだろうか?


自分の知らない所で推しからの好感度爆上げされている黒川であった

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