夢yo!ありがとう
門前払 勝無
yo!
「夢yo!ありがとう」
12時半ー。
コマ劇場前で彼女と待ち合わせー。
ドキドキがワクワクしている。
つまり心臓の鼓動が高鳴っていてこの高鳴りは可愛い彼女がそろそろ来る時間だからである。
今朝までロングヘアだったがショートヘアにしてくると言っていた。どんな髪型も似合う彼女はきっと僕を感動させてくれるだろう。そして再び一目惚れをするのであろう。
そんな事は解ってる。
僕の天使はもうすぐ来る。
コマ劇場の広場にはあちこちに酔っ払いがいて喧嘩していたり、口論していたり、罵声を浴びせていたり、殴り合っていたり……ん?危ない奴等ばかりじゃ無いかー。
これから彼女が来ると言うのにこの修羅の光景に不安が過った。
僕達はナイトシアターを観る約束をしていて名作映画「戦国自衛隊」を観る予定である。長尾景虎の前に突然現れた自衛隊との友情と別れを描いた作品で有り彼女とDVDで何度も観たのだが今回は映画館で観るのである。
僕と彼女は毎日一緒に居るがたまに外で待ち合わせをしてデートしている。
僕達は同じく小説家になる夢を見ていてお互いに励まし合って暮らしている。彼女が書き物を集中しているときは僕がご飯を作り珈琲を煎れる。僕が集中しているときは彼女が珈琲を煎れてくれる。お互いに作品の評価をして高め合っているのである。
小説家になれなくても僕はこの夢が続くことを願っている。
僕が煙草を携帯灰皿へ押し当てていると後ろから抱き付いてくる可愛い声の女の子が来た。
「おつかれ!」
「おつかれsummer!」
僕達は正面を向いて抱き合ってキスをした。
彼女はハニカミながら短くなった前髪を何度も手具している。
「似合うかな?」
「……」
「だめかな?」
「……」
「切らなければ良かったかな……」
「あ!ごめん!見とれてしまっていたよ!この一緒に三回ほど惚れ直した」
僕達はもう一度キスをした。
「イチャイチャするんじゃないわよ!」
隣にいたオカマちゃんが冷やかしてきた。
「姉さんも彼氏見つけな!」
彼女がイタズラにオカマちゃんに言った。
「キィ!羨ましい!」
オカマちゃんがニコニコしながら彼女の頭を撫でて去って行った。
僕達は手を繋いで映画館へ向かった。
最高の幸せの瞬間である。
終
夢yo!ありがとう 門前払 勝無 @kaburemono
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