華咲ける魔王譚のランデヴー ~麗人?の魔眼でチート無双へ~

キキ

プロローグ

第1話 プロローグ

「う〜〜……」


長い眠りから目を覚ますと、鼻をつくのは濃厚な草木の匂いだった。


意識がはっきりしてくる。どうやら自分は、仰向けに寝ているらしい。


まぶたを開けると——


「こ、ここは……?」


視界に広がるのは、緑深い木々が立ち並ぶ森のような光景だった。


「どうして……こんな場所に?」


体を起こそうとすると、何かがおかしい。違和感を覚えて自分の体を見ると——


「なんだよ、これ……」


目に映ったのは、ダボダボのジーンズとジャケット。


おそるおそる腕を持ち上げて、ジャケットの袖をめくる。


現れたのは、小さな手のひらと細い腕だった。


「……どうなってんだよ」


自分の体が明らかに小さくなっているのを確認して、ようやく記憶が呼び戻されていく——



◆◇◆◇◆◇


『ーーー……』


「う〜ん……」


枕元で鳴り響くスマホのアラームを、寝ぼけ眼で止める。


二度寝したい気持ちをぐっと堪え、ベッドから起き上がった。


「ふぁ〜〜……」


寝て凝り固まった背中を伸ばしながら、出勤の準備のために部屋を出る。



柊(ひいらぎ) 悠翔(ゆうと)、28歳。

現在、恋人なし。


地元の高校を卒業後、都会の調理師専門学校に1年通い、そのままレストランに就職。

以来9年間、地道に努力し続け、今では店の仕事をほとんど任せられるまでになっている。



その朝も、いつも通りのルーティンだった。


ニュースをつけながら身支度を済ませ、いつもの時間に家を出て、

いつもの道を歩き、

いつもの横断歩道で信号待ちをしていた。


スマホを見ながら立っていると——


(……ん?)


車道から大型トラックが近づいてくる中、

白いワンピースを着た十代半ばくらいの銀髪の外国人の少女が、信号無視で横断歩道に進み出ていた。


「危ない!」


とっさに前に出て、少女の腕を掴もうと手を伸ばした——


(スカッ)


「え……?」


手が、すり抜けた。


バランスを崩して前に倒れかけたその瞬間、


(スーッ)


今度は、彼女の体ごとすり抜けた。


振り返ると、少女は目を大きく見開いて、驚いた顔でこちらを見ている。


(なんだよこれ……!)


——そして。


『ドォーン!!!』


身体に激しい衝撃が走る。


周囲の時間がスローモーションのように流れ、

地面に倒れこみながらも、未だに驚きの表情のまま立ち尽くす彼女の姿が視界に映る。


視界が暗くなり、意識が遠のいていく——

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