第17話 なに!これ? 福岡県も佐賀県も揺れた

2005年3月20日  

 2005年3月27日からはメーカー合同の大規模な中古車展示販売イベントが開催されることになっており、史矢が勤務する会社(四輪新報)も協賛、取材することになっていたので休日出勤も決定、春のチューリップ祭り開催中のHTBに行くなら「今日のタイミング」とみて9時ごろに出発。麻矢を高校の部活に送ってから高速道路へ向かい、ランチをHTB内で楽しむつもりだった山鹿史矢と麻郁夫婦。九州道の鳥栖インターから長崎道と進路を変えて高速道路を90分ほど走り、武雄から国道34号で佐賀県を走り抜けようとしていた午前10時53分、もう少しで有田焼の窯元通りにさしかかろうとしていた信号待ち停車の時、不自然にスカイラインGTが揺れた。麻郁はいつも通り助手席で睡眠中。橋脚道路でもなくダンプなどの大型車両の通過もなかったので、しばらく続いたこの揺れが何だったのが気になったので、佐野元春のお気に入りアルバム「ノーダメージ」を吹き込んだMDを聴いていたカーステレオをラジオに切り替えた。

 しばらくするとラジオからニュースが流れてきた。

 ~10時53分頃、福岡県西方沖を震源とするマグニチュード(M)7.0の地震が発生しました。福岡県の福岡市東区、福岡市中央区、前原市及び佐賀県みやき町で震度6弱を観測したほか、九州北部を中心に、九州地方から関東地方の一部にかけて震度5強~1を観測。この地震により福岡管区気象台では10時57分に福岡県の日本海沿岸及び壱岐・対馬に「津波注意」の津波注意報を発表しておりますが、これまでのところ津波は観測されていません~という内容で、続報では北九州市内でも震度4を記録した地区もあるとの報道。

 聴きなれた音楽からラジオに切り替わったことで目が覚めた麻郁がその内容を理解したが慌てて高校で部活中の麻矢に電話してみた。幸い回線は遮断されていないようで通話は可能だったが、麻矢が携帯電話を携帯していないのか応答無しが続いた。

 震源地に近い福岡市の玄界島では家屋の倒壊ありとの続報があったが、高速道路が損壊した情報も今のところないが麻矢と連絡が取れるまで道の駅でトイレ休憩がてら待機することにした。

 正午近くになって麻矢からの電話~感じたことのない凄い揺れ方で高校の校舎が揺れて、イーゼルから小さいキャンバスが床に落ちたところもあった~という。情報が多く届けられるようになって、それぞれの自宅周辺も危うい所もありそうなので安否確認のため部活は中止となったため、これからバスで帰宅するというので、父・史矢と母・麻郁も引き返すことになった。

 帰路途中、震源地に近い福岡市付近になっても特に高速道路上は渋滞は無かったが、余震発生の報道もあり~いつまで続くのか~休日で誰も出勤していない編集室のあるテナントビル11階はどれほど揺れたのだろうか~と不安が増していたが、麻矢からの電話が入り~帰り着いたけど、家は大丈夫みたいよ~で不安の半分は消え、近所の弁当店で買ってきたホカ弁を親子3人で囲めたのは良かったが、テレビは玄界島で崩壊した家屋を生々しく報じていた。

 週明け、いつもより1本早いバスで出社した史矢、ビル自体は無事のようで普通にエレベーターも運転しており、11階の施錠を解除して入室。照明スイッチを入れてタイムカードを作動させてデスクに向かおうとした時、異様な光景が目に飛び込んできた。

 物入れの扉はほとんど開いており、棚の上部の資料本などは床に滑り落ちたようで、事務机の引き出しもほとんどベローと引き出た状況。最大震度4を記録した小倉北区、さすがビルの最上階だけに揺れ幅は大きかったようだ。

 震源地に近い福岡市街地は道路等に損壊が発生、一部の商業ビルも損壊。そして3月27日と28日に開催予定としてテレビでも週刊くるまニュースでも宣伝していた「メーカー合同の大規模な中古車展示販売イベント」は、液状化現象が発生して特設会場の周辺道路に亀裂が生じ、微弱ながら余震も続いていたため急きょ開催中止が決まった。


 「九州西方沖地震」と報じられたこの地震活動は、3月20日の地震を本震とする本震―余震型で推移し、12月31日までに震度1以上の余震が405回(このうち最大震度4以上の余震が8回)発生。最大余震は4月20日午前6時11分頃に発生したM5.8の地震で、福岡県の福岡市博多区、福岡市とその周辺で震度5強を観測した。

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