着弾へ


箱が用意されている

その箱を開けると中身は女性用下着、一式だった

おれは迷わずそいつを口に含んでもぐもぐした

女性用下着に栄養があることは明白だった

テレビでそう言っていた

「ビタミンセックス」

そいつが発見されたのだ

発見したのは孤独な中年学者だった

おれは女性用下着を頬張った

味は無かった

或いはおれの唾液の味だけだった

警官が遠くからこちらを睨んでいた

早く誰かをぶん殴りたくて仕方ないのだろう

警棒が空を切っていた

おれは下着を食べるのを暫し止め警官を見つめた

太陽が囁いたこの警察官は狂っていると

間違いない

おれはおれのやばい愛を貫ぬく

貫ぬいた

その際、季節は関係無かった

全人類に反対されたおれのやばい愛

そいつを守り抜く

警官が発砲した

もうそれをしないと一秒だってこの世界で肺呼吸が出来ないとでもいうように

弾丸は今は宙を漂っていて

あと数週間したらおれの頭蓋骨を木端微塵に砕く予定


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