第59話 「二学期の終業式」
(美咲)
十二月二十三日金曜日。今日は二学期の終業式。
明日から年明けの一月十日までが冬休みになる。
初めて知ったけれど、三年生は三学期の始業式も含めて、卒業式の前日まで自由登校になるらしい。
これから受験が始まる一般入試の生徒は、学校で入試対策の補習を受ける人もいるけれど、
終業式後に生徒会室に挨拶に行くと、早野先輩達も来ていて、運転免許を取りに行く話で「
聞いていると、十八歳になるまでは仮免許試験を受けられないので、早生まれの人は自動車学校への入校が遅くなるらしい。
三月生まれの夏目先輩が、その事で
私には自動車学校の事など未知の世界なので、何がダメなのか良く分からないけれど、法律で決まっているのなら仕方が無いのかな。
でも、三ヶ月もお休みなんて、いいなぁ。
今日は午前中で下校なので、二学期の打ち上げと、先輩達の合格祝いを兼ねて、お昼に近くのファミレスで集合することになっていた。
行ってみると、お店はうちの高校の生徒で貸切状態。
早野先輩達は、三年生で受験が終わった知り合いや部活の後輩に声をかけ、私たちが生徒会やクラスで声をかけた結果、全ての席が埋まる人数になってしまったのだ。
実は毎年この日はこの状態に成るらしくて、お店の方も迷惑がる事も無く、むしろ沢山サービスをして下さった。
席を移動しながら話をして、皆と楽しい時間を過ごした。
最後はいつもの四人の先輩達と、蒼汰君や結衣ちゃん達と一緒に座って話をした。
先輩達とは体育祭の後からいつも一緒に過ごして来たので、もうあんな風に過ごす事がないのだと思うと、少し涙が出そうになった。
でも、早野先輩達の「蒼汰の家に、時々遊びに行くからな!」という話を聞いて、こんな風にお話しはできないけれど、会う機会は有るみたいなので少しほっとした。
あと、桐葉先輩とあまりお話しが出来なかったのが心残り……。
生徒会室で期末考査の勉強している時もあまり話せなかったし、今日もあまり近くの席には座れなくて、会話をする機会は殆ど無かった。
避けられている訳じゃないと思うけれど、ちょっと寂しい。
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あまり長居をするとお店に迷惑がかかるので、適当な時間で解散になった。
明日のクリスマスパーティーの打ち合わせをして、私は自宅近くのショッピングモールへと急いだ。
明日のプレゼント交換用の品物を買うのと、ウィッグのコーナーに行かなければならないからだ。
目的は『来栖ひな』の変身グッズを買い足す為。
『黒髪おかっぱロング』の例のヴィックは、
直ぐに人工毛のちゃんとした物を買ったが、これも三ヶ月位が限界で、そろそろ買い替えないといけなくなってしまったからだ。
本当はお洒落なウィッグを買いたいけれど、黒髪ロングの物を買っておかっぱに切り
もしもの時の為に予備も購入しているので、私のクローゼットの中は長い黒髪のヴィックが並んで掛けてある。
だからクローゼットの扉を開ける度に、お化け屋敷の様な風景が広がっているの。
怖いわ。これ、万が一誰かが知らずに開けたら、悲鳴上げるわね……。
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