第48話 「文化祭の始まり」
(蒼汰)
十一月に入ると、いよいよ文化祭の準備が始まる。
各クラスで出し物をどうするのかの話し合いが行われ、クラスで第三希望までを決めて文化祭実行委員会に提出。
出し物によって出店件数の上限が決まっているので、多すぎる場合は抽選になり、ダメだったクラスは第二希望、第三希望となっていく。
それでも決まらなかった場合は、数が不足している出し物の中からクラスの文化祭実行委員が選んで決める事になる。
保健所への申請の問題などもあり、チャンスは一回限りだ。
もちろん、文化会系の部活の発表会や展示もあるので、クラス毎に参加できる人数に会わせた出し物を決めないとダメだが、候補を決めるだけでもかなり盛り上がる。
クラスでは定番の『お化け屋敷』『スイーツ系模擬店』『カレーや焼きそば系模擬店』『パイ投げやモグラ叩き等のアトラクション系』『メイド&執事喫茶』等が候補にあがった。
結果は、
第一希望『メイド&執事喫茶』
第二希望『ミニパフェ&ベビーカステラ屋』
第三希望『焼きそば&たこ焼き屋』
という事になった。
『メイド喫茶』なら念願の美咲ちゃんの『メイド服』姿が拝める!
頼むぞ! クラス委員!
そして、結果は『焼きそば屋』。
第三希望の上に、経費の都合で『タコ焼き』は削られてしまった。
クラス委員弱えぇ……。
文化祭の花形『メイド&執事喫茶』が出来ると思いきや『焼きそばの模擬店』という学園祭の一般モブになってしまった。
まあ、俺は美咲ちゃんのメイド服姿が見たかっただけなので、どうでも良いが……。
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人気の出し物を引き当てたクラスや文化会系の部活の連中が、文化祭当日に向けて熱い青春の日々を送るなか。うちのクラスは実行委員が彩乃先生と一緒に殆ど全部準備を済ませてしまい、前日と当日にローテーションで参加するだけという状態だった。
そのお陰で、自分のクラスの出し物よりも他のクラスの出し物を見に行く計画の方が盛り上がっていた。
早野先輩達は相変わらず昼休みに遊びに来てくれていたが、時々人数が少ない時があった。
実は大学の推薦入試を受けていたらしい。
望月先輩は陸上で推薦を受けて、早野先輩と夏目先輩は成績で、桐葉先輩も何かでそれぞれ推薦試験を受けたそうだ。
来年のこの時期にはもう受験が始まっていると知り、正直驚いた。
進学先の事など、まだ殆ど考えていない。
先輩にお願いして、今度ゆっくりと話を聞かせて貰うことにした。
そう言えば、美咲ちゃんはどうするのだろう。
『美咲ちゃん。大学でも俺たち一緒だね!』
『うん。蒼汰君。ずっと一緒』
『美咲ちゃん』
『蒼汰君』
うはっ。もうこれ決定でしょう。
俺の進路は、美咲ちゃんと一緒に決定!
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文化祭の当日になった。
模擬店の持ち場のシフトは、くじ引きで決められた。
まあ、シフトの交代は本人同士で話し合い可なので、それぞれ見て回りたい時間帯や仲間と約束した時間に合わせて、持ち場に着く状態だった。
それに、当日になるとクラスの中から『焼きそば奉行』が現れた。
「俺が一日中入るから人数減らして良し! お前らは麺と野菜の在庫だけ気にしてろ!」
という事になり、みんな結構自由になってしまった。
よし、これはチャンスだ。美咲ちゃんと一緒に回れる!
でも『二人で見て回ろう』とか誘うのは、絶対無理だ。
だから俺は先ず結衣を確保した。
チョコバナナを
結衣は嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。
こういう時の結衣は、ちょっと可愛いと思う。
そして、結衣を確保する事によって、美咲ちゃんを確保した事になる。
もちろん航も確保。
龍之介は? と思ったら、クラスの女子に誘われている最中だった。
爆発してしまえ。
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