22 淡々と

 突如、陛下が部屋に入ってきました。その後ろに、お父様とお兄様の姿も見えます。


「お父様!お兄様!」

「ああ、フィー。何もされていないかい?」

「ええ、私は大丈夫です。ですが、お父様たちはどうしてこちらに?」

「今日でこのゴタゴタを全部終わらせるためだよ。フィーは何も心配いらないさ」

「お兄様…」


  私が知らない間にお父様たちも巻き込まれていたのですね。私は自分のことばかりだったのに……

  これから私は王妃になるのですから、もっと視野を広く持てるように精進しないといけません。


「ルルア!一体何をしているのかと聞いているのだ!」

「あら、あなたとの約束を守っただけですよ」

「約束だと?」

「ええ、トントのことは卒業までは口を出すなとおっしゃっていたではありませんか。だから今日、卒業したので処分しようと思っただけですわ」

「なっ、貴様!何を言っているのかわかっているのか!?」

「ええ、あなたの愛人との子など私にとって迷惑なだけですし、コレは愚か過ぎて置いておくのもリスクにしかなりません。命を取らないようにしてあげるだけ、感謝して欲しいぐらいです」

「ど、どうしてそれを」

「あれで気づかれないとでも?」

「ぐっ、だが!」

「では、その愛人様とコレのどちらかを選ばしてあげましょう。あなたはどちらを選びますか?」


「父上!」

「うるさい!そもそもお前がわしの言うことを聞かないのが悪いのではないか!そもそも、お前がソフィア嬢に対して、冤罪をかけた時点で終わりであったところを救い出してやったと言うのに、さらに問題を起こすとは!お前がシーラの子供でなければ、とっくに……」

「語るに落ちましたね。これで否定することもできません」


 シーラといえば…ちらりとアメリアを見れば頷かれる。やはり、ブルーム男爵婦人なのですね。そうであるならば、アメリアを引き取ることを許可した理由がわかりました。自分の子供と会えるようにするためだったのですね。


「ちが……」 

「まあ、誰であろうとどうでもいいことです。あなたには病に伏せってもらいます」

「わしを殺すつもりか!?この国の国王であるわしを!そんなことが許されるはずがないであろう!」

「優秀な後継がいる以上、無能なあなたはこの国に必要ありませんわ」


「陛下、ご心配なさらないでください」

「おお、アルス!宰相のお前からも言ってくれ!」

「はい。ルルア様、重要な書類は全てクリス様に任せてみましたが、問題はありませんでした。ルルア様が補佐をなさるのであれば、問題は何もないでしょう。もちろん、私も息子も最大限力になりたいと思います」

「そうですか。ならばこの話も終わりにしましょう」


 お父様が淡々と陛下に現実を突きつける。クリス様はまだ成人になっていないのに、もう国のことを任されていたなんて……


 私も、クリス様の支えになれるように、ルルア様を見習わなければ!

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