ニア視点
ソフィア様とアメリアが楽しそうにしているのを横目に、監視対象であり、一応護衛対象の第一王子の後をつける。
学生であることを忘れた愚か者は城に帰った。報告はこれでいいでしょう。あれはいつになったら勉強をするのでしょうね?まぁ、もう遅いのですが…
「…代わります」
「お願いしますね」
城に着き、護衛の任務を交代する。さて、主人に報告をしましょうか…あれはクリス様?どうしてこちらに、今は勉強の時間では…
少し様子を見ていると、クリス様はもう容赦するつもりはないらしいですね。さて、私もそろそろ行きましょうか。
「お帰りなさい。今日は早いのね」
「はい。ソフィア様に怒声を浴びせたら、ソフィア様以外の方々に言いくるめられて、逃げ帰ってきました」
「あの子も懲りないわね」
「他人事ですね」
「ええ、だって本当に他人だもの。勝手に連れ帰って来た子どもに、学園を卒業するまでは何もするなと言われてもね。ただの浮気の子だと言っているようなものじゃない」
「だから、何をしても庇わず、陛下の地位も下げさせた。今じゃ、ローズ公爵家は陛下に敬意を持っていませんよ?」
「知らないわ。何もするなと言われているのですもの。あの人が全部なんとかするんでしょう?あなたもそれは知っているはずでしょ」
「ええ、知っていますよ。あなた様の側で見ていましたから」
私は孤児院で育ちました。それこそ、アメリアがソフィア様に憧れたように、私もこの方、現王妃であるルルア様に憧れ、彼女の役に立ちたいと思いました。
だからこそ、アメリアを見つけたときはすぐに声をかけました。彼女はまるで昔の私のようだったので、気づいた時には声をかけ、教育をしようと思いました。
話が逸れましたね。ルルア様がこの国のために忙しく働いていた時に、あの男はルルア様以外の女と遊んでいたのです。その女の家は第一王子を支持していた家のどれかでしょう。今はどうでもいいことですね。
「これだけ失態を晒しているのに、未だ庇っているのだもの。笑えるわ。その油断がこの国に不幸をもたらすことは知っているはずなのにね」
「まぁ、その心配はないでしょう」
「そうね。学園を卒業するまでは私も我慢してあげたけど、卒業したらもう知らないわ。私も好きにさせてもらう」
「いえ、ルルア様が手を下す必要もないでしょう」
「?どうして?」
「クリス様はあなた様のお子様であるということです」
「?」
クリス様は、もう第一王子に容赦する気はないようですからね。それに、クリス様は第一王子を処分してこなかった両親にも期待していないのかもしれませんね。
あとで、ルルア様の素晴らしさを叩き込んで、いえ、教えてあげましょう。
「ルルア様、私は主人に相応しいと思っているのは三人います」
「?ええ、私とソフィアちゃんと、あと一人は誰?」
「ルルア様はもう少しクリス様とゆっくりお話をしたほうがいいと思いますよ。では失礼します」
「えっ、ちょっとニア!」
ゆっくりと頭を下げて、気配を消し、部屋から出る。私が主人に相応しいと思った最後の一人はクリス様ですよ、ルルア様。
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