【完結】悪役令嬢とは何をすればいいのでしょうか?
白キツネ
1 日常の崩壊
穏やかな日常は常に続くとは限りません。ある時、ふとした瞬間、いつも綺麗に噛み合っていた歯車が突然狂う時が来るかもしれません。
そう、歯車が狂ったのは、本来転入などはあるはずもないのにもかかわらず、彼女が学園に異例の転入をしてきたことが原因でしたでしょうか?
その男爵令嬢は、入学するなり勉学に励むのではなく、見た目の良い、かつ爵位の高い男子生徒に擦り寄った。誰もがそれを鬱陶しく感じていましたが、気づいた頃には幾人も侍らせる状況になっていました。
私、ソフィア・ローズは公爵家の娘であり、第一王子との婚約が決まっています。ですが、第一王子はさっきお話しした男爵令嬢に侍る一員となっていました。王族としてのプライドがないのでしょう。昔から口だけのお方でしたから。
私は第一王子が誰と一緒にいようが別にどうでもいいのです。私に最低限以上関わってこなければどこぞの女子生徒とお付き合いしようが気にもなりません。
話は変わりまして、私が今いるのは学園の教室です。私はこの教室が好きなのです。特に授業前のこの空間が好きなのです。勉学をするための最低限の環境、生徒たちが次の授業の話について話し合っている声が聞こえるこの空間が好きなのですが、そこに忌々しいノイズが入ります。
急に仲良くもない婚約者である第一王子から話しかけられる。普段、学園では絶対に話しかけてこないのにどういうつもりだろうか。
「お前、嫉妬でメアリーのものを壊したりするのはやめろ!この陰険女が!」
はっ?急にこんなことを言われて困惑するなという方が無理でしょう。私が一体何をしたというのでしょうか?
「こんなにも可愛らしいメアリーをいじめているとは…淑女とは到底思えませんね」
「メアリーを見習って、そのねじ曲がった性根を正すといい!」
「か弱い少女をいじめるとは…なんて性悪なんだ。まるで小説の悪役令嬢そのものですね」
「ああ、お前のような婚約者を持ったのが俺の唯一の恥だ!」
説明しますと、上から順にペーロ伯爵子息、ファイサン侯爵子息、モーノ伯爵子息、第一王子です。
第一王子たちはそれを言って満足したのかむかつく顔で出て行った。次にこの教室で授業があるのにも関わらずです。
私がそんなつまらないことをしている暇があるとでも?それなら私が本当の悪役令嬢の嫌がらせというものを教えてあげましょう。
とは言え、悪役令嬢とは何をするものなのでしょうか。とりあえず、もう少し詳細が欲しいところですね。
仕方ありません。賭けに出ましょうか。
「ソ、ソフィア様、お気になさらないでください。いくら、第一王子だからといって、ソフィア様が何もしていないことは私たちが知っていますから」
「ありがとうございます。マリア様。ですが、私は気にしていませんわ。それに、そこは危ないので、少し私から離れてもらっても?」
「は、はい!申し訳あり…危ない?」
彼女が私から離れて、もう一度、私の周りを見回す。誰も邪魔になる位置にはいませんわね。皆様が不思議そうにこちらを見ています。それでは、この国で一番情報を持っている者を召喚するとしましょう。
順序は簡単です。まずは護身用の短剣を用意します。次にそれを自分の首に突き刺すだけです。それではやってみましょう!
「「「「「ソフィア様!!!」」」」」
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