2年と9ヶ月
ZOMBIE DEATH
OP0話
異世界の存在が確認されて既に10年の月日が流れた。
異世界……小説や漫画の中でのみあると思われていた、ファンタジーの世界は紛れも無くあった。
その存在を見つけた各国は協定を結び、その異世界の住人と共に暮らす事を選んだ。
科学が進んだ世界は凡ゆる品を輸出し、代わりに広大に広がる土地を有する異世界からは、未知の鉱石や動植物そして土地は巨大な農業産地として活用された。
食い詰めていた物にも仕事が回り、お互いが良い協力関係を得た様にも思えた。
しかし、この異世界と化学の融合は、新たな恐怖の始まりでしか無かった……
西暦2031年地球圏では未知のウイルスが広まった、インフルエンザウイルスの様に感染力が強く、コロナウイルスの様に発病まで時間を要するウイルスで、重篤になる確率が高く医療崩壊も目前であった。
人類はそのウイルスを『レイジ・ウイルス』と名付けた。
発症者は、ウイルス潜伏中に怒りに身を委ねる傾向が見られるからだ。
そして保菌者は『取っ組み合いの喧嘩』により、接触感染を引き起こす傾向が高かったのだ。
大きな都市は暴力を振るう人で溢れかえった。
感染も高まり接触感染した患者が、病院内で二次感染を広げる為に多くの国の政府は都市封鎖をして、蔓延防止の策が為された。
異世界に逃げる地球圏の人間は爆発的に増えた。
その為、異世界への渡航も禁止されお互いの利点は、潰えてしまいそうになる……
だが、そのウイルスも対応するワクチンの出現により、一度は収束しかかる。
しかしながら、そのウイルスの特性は進化が早いという点だった……
ワクチンを作っても新たな新型ウイルス株が出来てしまう……まさにイタチごっこだった。
地球圏の科学者は、寝る間も惜しんで新たな薬に開発に勤しんだ。
その薬を作るラボには、そのウイルスのα株やβ株など様々なウイルスや抗体が保管され、日夜研究がなされていた。
漸く新ウイルスのワクチンの目処が立ちそうだという最中……最悪な事態に陥る事になる……
どんな物にも反対派勢力は居る……
ウイルスは所詮風邪だと言う勢力や、薬の安全性に問題があると言う反対派閥だ。
言葉で言う分には問題はない……
実力行使にさえ出なければ、意見の衝突という問題で済む話だからだ。
しかしながら、長い都市封鎖に我慢の限界を迎えていたある一部の派閥が事件を起こす。
ラボに忍び込み新型ワクチンを含めて、機材一式を破壊した。
それは事もあろうに異世界の未知の成分を含む、機材群だったのだ。
各種レイジウイルスの他に、空気感染するウイルス類や異世界のゾンビ菌、インフルエンザウイルスにエボラ出血熱など様々だ。
彼等暴漢は満足な装備もせず、ラボに侵入し破壊した。
そもそも厳重なラボには入れないと思いがちだが、反対派勢力の回者が中にいれば話は別だ。
この時期ラボは日夜、危険なウイルスを扱う為に警備員含めて社外への退出は国が許可しなかった。
万が一ウイルスが漏れて出た場合、非難は国に来るからだった。
ウイルス蔓延の初期段階、多くのラボは人員管理が杜撰だった。
その所為で、ウイルス事故が多発したのだ。
国による謝罪会見も多く、関係ラボのウイルス全面取扱禁止を国が命じる状態にまでなった位だ。
そんな理由から頭のおかしい警備員が、少額の報酬と引き換えに出来心で侵入させたのだった。
レイジウイルスはラボの中で最悪な進化をする……ゾンビ菌は名前の通り異世界のゾンビの肉体から取った菌だった。
菌とウイルスは違うが、異世界産物であるゾンビ菌は名前こそ菌であるが両方の特性を持つ最悪な菌だった。
しかしゾンビに噛まれて発症する訳ではなく、ダンジョンと言う場所がその菌を活用する事がわかったのだ。
『だからこそダンジョン外なら安全だ』と言う間違いもあった。
しかし管理と保管管理は徹底されていた……残念な事にそれは今日までだったが……
レイジウイルスはゾンビ菌内部のウイルス部のみの特性をラボ内で手に入れ、エボラ出血熱の特性や空気感染するウイルスの特性、そしてインフルエンザウイルスの感染力まで手に入れた。
破壊に勤しむ暴漢者はたった数分で、ウイルスが爆発的進化をするとは思っていなかった……
機材を破壊した事で警報が鳴り、暴漢者と警備員は即座に逮捕された。
それから数時間後、ウイルスは爆発的に増殖し全人類はその脅威に晒された。
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