玉座の間到着
──アーカムの視点
上層階への大階段を制圧した俺は騎士の15名を階段の防衛にあたらせ、残りの15名を引き連れてさらにうえを目指した。
王城内には多くの部屋があり、そのすべてを調べるのは骨の折れる作業だが、超直観があればさしたる苦労もない。
「大部隊の指揮を取るならば、やはり玉座の間で部隊の編成を行うのが素直でしょうな。ストームヴィル騎士団長はおそらくはそこかと」
「なるほど。しかしてどこから入ってきているのか。あなたの推論は?」
俺は曲がり角の向こうに陣取った2名の魔術師と25名ほどの騎士が防衛するバリケードと弾幕を撃ち合いながら、ここまで付いて来て道案内をしてくれている熟達の老騎士にたずねる。騎士たちは飛びだして行っても撃ち殺されるだけなので、さっきから俺のあとをついてきているだけなので手持無沙汰でも暇そうなのを思ってだ。
「敵はウィザーズパレス地下にある遺跡跡との入った来ているのでしょう。あそこ以外は考えられません」
「ふむ。やはりそうなるのでしょうかね」
俺は《イルト・ウィンダ》でバリケードを吹っ飛ばす。
騎士も魔術師たちもまとめて殲滅できた。
『違うぞ! 敵は地下遺跡から入って来たのではない!』
「ではどこから」
「アルドレア様、だれとお話になられているのですか……?」
『やつらは……』
なんでそこで黙るんだよ。
たまに匂わせなんだよなぁ。
とりあえず、行くしかあるまい。
「先へ進みましょう。この先は玉座の間でしたね」
玉座の間までやってくると、扉の前に相変わらずバリケードが設置してあったが、風の爆弾を放り込んで一気に戦闘を終わらせた。
「まさかこんなにはやく反撃にでて来られるとは思わなかった」
玉座の間へ足を踏み入れると、よく通る声でその者は言って来た。
視線をまっすぐに向ければ、中央には長大な机が置かれ、そのまわりに騎士40名ほどがいるのがわかった。戦略的会議をしていたのだろうか、机には大きな地図が広げられ、そのうえに駒が配置され、制圧ルートなどの計算が行われた形跡がある。
よく通る声の男は腕をビッと掲げた。
玉座の間の一角に積まれている物資コンテナに立てかけられていた槍が、びゅんっとその手元へ飛んでいきおさまった。
『魔法の槍だ! 四等級の武装にちがいない!』
相変わらずなんでも知ってる、おっとと、なんでも勘で言い当てる。
しかして、四等級。つまり宝剣級の武器か。
俺のアマゾディアや、アンナのカトレアの祝福レベルというわけだな。
俺たち以外ではそんな高級な武装しているやつは初めてだ。
「王女殿下を取り逃がしたのがやはり響いてしまったか。この短時間で騎士団本部に残留していた金魚のフンのような寡兵だけで、玉座の間まで辿り着かれてしまうとは」
「あなたがストームヴィルですね」
言って杖を握りしめ、背後の騎士たちに玉座の間へ広がって包囲陣形を取るように指示をだす。騎士たちは横に大きく広がり、会議机を囲むように剣を構えた。
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