ウィザーズパレス侵入
正門を制圧した俺たちは騎士たちを招き入れた。
王城内の構造はあらかじめ教えてもらってはいたが、攻めにられにくく複雑に入り組んだ構造をしているため、王城内部構造を熟知する騎士9名ほどを均等に割り振り、3部隊を編成され、それぞれが城の外周部、内周部、上層階層を攻撃する。
戦力的にもっとも優れたキサラギにエフィーリア王女を預けたかったが、やや不安が残るので、ここはアンナに任せることに。
「キサラギは王城内の構造を完全に記録しています。パーフェクトです」
と自信満々だったのでここはあえて連帯行動をとらせず、自由に遊撃してもらうことにした。叛逆騎士たちの無力化。城に被害をださない。この二点だけ命令でだし、解き放つ。
「アーカム、キサラギはひとりで大丈夫なのですか……?」
「問題ないです。信じてください」
3部隊のうち俺は訓練兵の割合が一番少ない、最も精強な30名を連れて、上層階層へ向かった。
アンナは下層内周を押さえてもらう。外周には最も多くの騎士をふりわけ100名ほどで総攻撃をかけてもらう。戦力的にはやや劣るだろうが、キサラギを解き放ったのは外周部なのできっとうまい事やるだろう。
そんなこんなで俺は直観を頼りに敵の首領がいるだろう迷宮のような上層を駆けた。
「アルドレア殿は王城をよくご存じのようですな。進む足に迷いがありません」
「初めてですけど……さっきマップを覚えたので」
『右! 左! AB!』
超直観のくだすコマンドのような指示に従って歩みを進める。
「ん、狙撃か」
俺は飛んでくる背後から飛んでくる長矢を察知。
くるっとふりかえると3本の矢が飛んできていたので、2本をかわし、1本を掴んで止め、ぽいっと捨てる。
見やればちょうど大階段を登っている時に背を向ける側、おおよそ30mほどの距離に小窓が開いており、大弓を構えた狙撃手がいたのだ。
絶対に通ることになる階段ゆえ、襲撃者に備えた構造になっているのだろう。
「なっ! あの小窓のことは長く王城に仕えた騎士にしか伝えられていないはず!」
おののく熟達の騎士たち。
「ちっ! なんて反応速度だ! 狙撃失敗! 正面、攻撃開始せよ!」
俺を狙撃した者が叫ぶと、階段のうえからザっと騎士たちが姿を現した。
「アルドレア殿、おさがりください! 挟まれました!」
俺は氷の魔力を背後の小窓3つにぶつけた。
分厚い氷が完全にふさぎ背後の狙撃手たちの攻撃をシャットアウトする。
「っ! それは氷属性式魔術……! それまで無詠唱で!」
「皆さんは下がっていてください。死人はひとりも出したくない」
言って俺は階段上に陣取った者たちのもとへ飛びこむ。
剣をぬき、騎士たちはいっせいに掛かって来た。
嵐の鎧をまとい、ぴょんっと跳躍する。
俺の脚力だけでは無理だが、風によって上昇気流を生み出すことで、10mほどふわっと浮かび上がり、俺は叛逆騎士たちのまっただなかに着地した。
「魔術師が飛び込んで来やがった!」
「馬鹿め! いまだ、八つ裂きにしろ!」
向かってくる刃。
俺はそれらが届くよりもはやく、風と水と氷の魔力を同時に展開した。
自分を起点に氷獄の暴風域を展開する。
氷獄魔術──《アルト・ダイアモンド》
「ぐゥ!? なんだいきなり吹雪が!」
叛逆騎士たちは嵐に押し出され、バランスを崩してドミノ倒しに倒れていく。
風と水によって台風のようにびしょ濡れになったところへ、極度の冷気があてられた。転がった叛逆騎士たちは身の凍る寒さに震えた。氷、固まった皮膚が暴力的な風でズタズタに砕かれ、剥がされる。
何人かが見るも無残に死んだあたりで、俺は魔術を解除する。
「王家に仕えるウィザード、アーカム・アルドレアだ。いますぐに抵抗をやめろ。二度警告はしない」
地獄のような魔術に戦意を完全に喪失した騎士たちは、警告するまでもなく武器を投げ捨てていた。
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