24:竜殺しと魔王殺し
レイルの記憶と寸分違わぬ姿だった、レイルが見る者に穏やかな印象を与える容姿に対してゼルシドは整ってこそいるが見る者を震え上がらせる様な攻撃的な印象を与える容姿をしていた。
「なんで…」
思わず呟いて動きを止めたレイルに剣が振るわれる、咄嗟に受け止めるが人間離れした膂力で押し込まれる剣に歯を食い縛りながら耐える。
「教えた筈だろ、剣を向けられたら相手が誰だろうと斬れってな!」
ゼルシドの叫びと共に幾多もの剣撃がレイルに襲い掛かる、その一撃の重さに手を痺れさせながらもなんとかいなしていく。
「…なんで師匠がバニス教団にいるんです!?なんで貴方が奇跡なんかになってるんですか!?」
問わざるを得なかった、レイルの生き方に道を示してくれた恩人が敵となって立ちはだかっている事実はレイルの剣に迷いが生まれさせていた。
「俺が奇跡になった理由だぁ?」
互いに弾かれる様に離れる、ゼルシドは一際強い怒気を放ってウェルク王を睨みつけた。
「
「…っ!」
「いや、今ここで斬っちまうから聞くのは無理か…まぁ俺はこの国が嫌いなんだよ、それこそ滅んじまえって思えるくらいにはな」
話は終わったとでも言う様にゼルシドは剣を掲げると再び殺気をレイルへと向けた。
「どきなレイル、今すぐ道を譲るんなら見逃してやるが邪魔すんならてめえでも斬るぞ」
「…」
レイルはゼルシドの命令に少しだけ沈黙すると剣を構える、なによりも明確な答えにゼルシドはため息をつきながら頭を振った。
「そうかい、じゃあ…死ね」
言葉を吐き捨てると同時にゼルシドが床を蹴った。
―――――
謁見の間の中心で嵐と見間違える程の剣の応酬が繰り広げられる、レイルとゼルシドの剣が互いの頬を掠めた瞬間ゼルシドが放った蹴りをレイルは『
「自力で辿り着きやがったか!」
間髪入れずに振るわれた剣を仰け反る様に避けた勢いを利用して後転すると踏み込んでくるゼルシドに向けて剣を振るう、下から掬い上げる様に振るわれた剣をゼルシドは跳び上がって避けると離れた位置に着地する。
「自力で“極致”に辿り着くとはな、お前の才能は理解してたつもりだが予想外だったな…だがまだ甘ぇ」
そう吐き捨てるとゼルシドは『
「づぅっ!?」
『
(魔力集中を同時に別の箇所に!?)
そう思い至った瞬間に踏んでいた脚が跳ねて膝がレイルの腹に突き刺さる、ゼルシドは体をくの字にさせられたレイルの頭を掴むと思いきり床に叩きつけた。
「ごふっ…」
「
掴んだまま腕を思いきり振り回して壁へとレイルを放り投げる、穴だらけになった壁は衝撃に耐えきれずレイルを巻き込んで崩れ落ちた…。
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