4:果てに見つけたもの


目を覚ましてまず感じたのは全身を走る激痛だった。


痛みにこらえながらアイテムポーチからポーションとマナポーションを取り出して一息に呷る。


動ける様になって立ち上がると目の前には縦に両断されたドラゴンの死骸があった。


「やったのか、本当に...。」


レイルがガムシャラに放った最後の一撃、今までの教えとは真逆の感情任せの一撃がドラゴンを斬り裂いた、あの一撃を放った感覚がレイルの記憶を想起させる。










それは剣の師匠から稽古を受けていた時に言われた言葉だった。


“なぁ、本気で剣の道を生きる気はないか?”


“剣の道、ですか?”


“あぁ、こういう言い方は好きじゃねえがお前は才能がある、その気になりゃ最強だって夢物語じゃないくらいのな”


師匠の目は本気だった、普段とは違う雰囲気に冗談じゃないと子供ながらも良く分かった、だからこそ…。


“やめておきます、僕は大切な人の傍にいれたらそれで良いですから”


“そうか、ならそれで良い”


“いいんですか?”


“どんなもんでもなりてえからなるし、やりてえからやるんだ、強制されてやるクソさは良く分かってっからな”


師匠はそう言って稽古を再開する前に呟いた。


“だからまあなりたくなったら目指してみな、最強ってやつをな”














「そうか...まだ、残っていたんだ...。」


全て取り零したと思っていた手の中には培ってきた剣が、師匠が示した道があった。


それを新たな生き甲斐にする事に抵抗はない。


愛を失った、繋がりを自ら断ち切った、それでもこの手に残ったものに自分の命を費やそう。


これが後に最強と呼ばれた剣士の第一歩だった。

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