ほんとにあった不思議な話
にゃりん
1. シーツをかぶった人
子供の頃、近所の友達と遊んだ後に「わたしのほうがおねえちゃんだから」とその子の自宅まで送り届けた時のこと。
県道沿いにあるその子の家までは、田舎とはいえ車通りがそれなりに多く、見通しの悪いカーブもある。
車に気をつけながら友達とお喋りしつつ歩いていると、奇妙なモノが視界に入った。
カーブの内側にある家のあたりから、真っ白なシーツをかぶった人が道路に出てきたのだ。
その人はゆっくりと道を横切り、反対側にあるブロック塀と生垣の間にある小径へと入っていった。
まだ日は高いとはいえ、夕方と言っても差し支えない時間だった事もあり、当時のわたしは「あっちで洗濯物干してたのを取り込んだのかな」くらいに思っていた。
そのまま何事もなく友達を送り届け、来た道を戻る時にふとシーツの人の事を思い出した。
カーブの外側の、ブロック塀と生垣の間に目を向ける。
そこに道なんてなかった。
人どころか、犬猫が入り込めるような隙間すらない。
わたしは訳もわからず走り出し、一目散に自宅へと駆け込んだ。
家族には言えなかった。
子供心にも奇妙な現象だったが、見たままを訴えられるほど世間知らずでも幼くもなく、とにかく驚いただけで恐怖や身の危険を感じた訳ではなかったから。
しかし見間違いと言い切るには鮮明すぎたし、未だに頭の片隅から離れない。
これが、わたしが初めて見た奇妙なモノの話。
―終―
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