スライムも倒せない俺が魔王倒したんだが?

零下冷

プロローグ

 ここはのどかな田舎町、クラセル。王城、魔王城のどちらとも距離があり、戦いとはかけ離れた街だ。


 でも大都市から離れていると、物資などの供給もなかなか無いので、町の中で自給自足をしなければならない。


 まあそんなわけで、俺もこの町の住人として、今日も町のために木材を取りに行くわけだ。


 そう、俺は木を切って木材で生計を立てている。本当は、冒険者の方が割もよく貴重な素材なども手に入るけれど。残念ながら、俺には冒険者の才能がなかったのだ。この世界は平等ではないらしい。


 あれは15歳になったときだった。冒険者になれる歳になり、嬉々として2人の友人と共に、安っぽい武器を持って町の警備管轄外へ行った。


 先程言った通り、王城や魔王城とはかなり距離があるので、モンスターなども圧倒的に弱く、余裕で勝てるはずだった。


  2人の友人は、どこからか次々に湧いてくるスライムや大ネズミなどを余裕で倒しまくっていた。


しかし、俺はスライムたった1匹に苦戦し、挙句の果てにスライムの攻撃で倒れてしまったのだ。


町の病院で目覚め、事の経緯を聞いた時には、恥ずかしすぎて死にそうだった。


気絶した俺を病院に運んでくれた2人には本当に感謝しているが、スライムにやられていた場面を見られていたと思うと、恥ずかしすぎてあまり顔を合わせたくなくなる。


そして結局、彼ら2人は冒険者になり、俺だけが林業に就いたという訳だ。


しかし、俺は林業は嫌いではない。たまに怪我もするけれど、冒険者ほどではないし、自然も感じられる。それになにより、木が切れたときの達成感といったら!


まあ要するに俺は、冒険者にはなれなかったけれど、何不自由なく、むしろ楽しく暮らしている。



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