168皿目 クッキー

 なぜバターを入れたら入れただけ美味くなるのなろうか。


 安いクッキーはバターが少ないのでおいしくない。「缶入りでこのお値段!」なんて、意気揚々と買ったクッキーがぼそぼそしてまずかったのは苦い記憶だ。お菓子屋さんのクッキーはおいしいが、油が染み出してくるように感じるときすらあるからきっと恐ろしい量のバターが使われているのだろう。


 お菓子屋さんの、じゃなくてスーパーで売っているクッキーでものすごく好きなものがあった。輸入食品コーナーに売っていた、チョコチップ(というか、ほとんど角切りのチョコ)とマカダミアナッツがたっぷり入ったでっかい分厚いクッキーで、クッキー生地もうまい。ザクッ、ほろっ、という感じで最高だった。付け加えるとマカダミアナッツは自分の大好物だ。こんなクッキー好きにならないわけがない。

 一番ひどいときは1日1袋空けるのが当たり前みたいなこともあった。でも太らなかった。若かったから……。


 と、そんなに大好きなクッキーだったが、残念ながらいつの間にやら売り場から消え、同じ系列のスーパーも探してみたがそちらでも同じ商品に出会うことはなかった。似たようなものも見つけられないでいるが、代謝が落ちた今あんなのを食べたら具合悪くしそうだからやめとけという天の気遣いだろうか。

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