沈黙の皇 〜この転移者、狂的で暴力的、口も人相も悪いが、誠に遺憾ながら主人公です〜
南雲 燦
プロローグ
はじめまして、皆さん。作者の
流行りの物語、ちょっと書いてみたくて、とりあえず前書き的なものでも書いておくか、とプロローグを
「まっじで、てめえ。ふざけんじゃねえよ、タイトルに俺の悪口しか書いてねえじゃねえかよ」
この粗暴で口の悪い男が、この物語の主人公、
余計なことを言って殴られやしないか、暴行罪で刑務所にぶち込まれやしないか、
エンディングまでに主人公が殺されるなんて、最悪な事態だけは避けたいものです。
「おい、お前が書くんだから、殺さなきゃ良いだろうがよ」
もしかしたら、書いている間にストレスが溜まって、
あっ! やば、やっちゃった!
的な感じで手を滑らせて、うっかり主人公を殺してしまうかもしれません。
「こ、怖えこと言うなよ。ほらよく見てみろよ、この俺を! お前好みの姿だろ? 背は高えし、顔面も腕っぷしも強えしさ。結構、母性本能掻き立てられる可愛さがあるって言われるんだぜ」
騙される
ああ、私もこんなに主人公のダメダメポイント列挙できると思わなかったよ。そういや確かに、ダメ男って、母性本能掻き立てるタイプ多いもんね……。
「だから、初っ端からネガキャンばっかするんじゃねえ。皆ドン引いちまうだろうが。自分から読者減らしてどうする」
いやだって、事実は
「もっと、俺の良いところを言え! そんで、物語の魅力を伝えろよ! クソ作者!」
えー、途中でこの主人公が死ぬ物語です。死因は、怨恨です。
「おいぃ!」
「あっ、先輩と作者さんじゃないっすか。何やってるんすか?」
こちら、このダメ主人公の相棒、
「先輩の後のトイレ、臭いんで、ちゃんと消臭スプレーして下さいって、前言いましたよね?」
「お前っ、プロローグだぞ! 今ここ、プロローグ!」
ただちょっと遠慮を知らない、いけぞんざいな物言いと、
「あと、マジでトイレ長いっす。いい加減すぱっと出してくださいよ、気合が足りません」
「あ!? 気合いで出るならそうしてらぁ」
「雑誌持って入るからっすよ」
「それは万が一の長期戦に備えてだ。備えあれば憂いなし。籠城の基本だろう」
「次、一時間籠ってたら、ウォシュレットのボタンをミサイル発射ボタンにするっすよ。ケツに銃弾ぶち込まれたくなかったら、早く出てください」
この子の場合、本当にやりかねない、頭の
拳銃を扱うのが得意で、元は、
掃除屋は、旧ロディギア帝国の
超能力社会であるとは言えど、召喚された転移者は意外にもざらにいる。鮫皇もそのうちの一人だ。
やんちゃ中学生だった鮫皇が、突如この世界に呼び出されて早十五年。紆余曲折を経て、
仕事はまちまち。給料もぼちぼち。大抵は街をふらふらしている。
「だーかーらぁ! まじで良いとこ一個もねえ紹介するんじゃねえよ!」
まぁこんな男でも、確かにやるときゃやるんです。何故か超能力を使いたがらないので、その無駄に強い腕っぷしで、相手を張り倒していく姿は、認めたくはないが、圧巻です。
「そうそう、俺喧嘩強えのよ」
この、すぐ高くなる鼻っ柱を折ってやりたいところですが、早く本編に行かねば、読者さんが飽きちゃいますね。
「先輩の面白くもない話をしたところで、読者はさして増えないっすから。気にすることないっすよ」
「おいてめえ、今日は陽が昇るまで俺の武勇伝聞かせてやろうか」
「圧倒的早さで寝落ちする自信あるっす。世界新出せる気がしてきたっす」
他にも、強烈な個性の登場人物をわんさか出して、適度に主人公に絡み付かせていかせるつもりです。のさばるマフィア、強面揃いのオネェギャング、自由奔放すぎる
「絡み、付かせる……?」
いや、語弊です、語弊。
彼らの秘めざる過去、ドタバタな日常、帝国の未来。
さあ、鮫皇達の
「俺様の栄光なる伝説を!」
「美しいヒロインが活躍する花道を」
ご賞味あれ!
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