DAY25-2 ブラックギルドマネージャー、魔麻薬取引の証拠をつかむ
「という事でクレイ! せっかくだから楽しもうよ~っ!」
だきっ!
案内された隠し部屋のベッドルームに入った途端、シェイプチェンジの魔法をポポンと解き、抱きついてくるアル。
「おっと……!」
極端に絞られた紫の照明の中、彼女を抱きとめた私は部屋の中央に置かれた巨大なダブルベッドに倒れ込む。
ベッドのマットレスはふかふかで、ほのかに漂う香とムーディなBGMが劣情を煽る。
というか、魔麻薬は中和したはずだが、体が熱い?
「アル、お前……媚薬は中和してないな?」
「えへへ~、こんな楽しそうなシチュエ~ション中々ないし? クレイけっこうあのお兄さんに嫉妬してたでしょ?」
「アルはクレイしか見えてないってわかってほしくて♪ それに……アルも体が熱いよ……♡」
薄暗い照明の下で、彼女の紅い目が潤む。
相当に興奮しているようで、吐く息も熱い。
まったく……潜入捜査だというのにこの子は。
ちょうどいい……胸に渦巻くこの情熱を、たっぷりアルにぶつけてやろう。
私はくるりとアルと体を入れ替え、彼女をベッドに押し倒す体勢になる。
そっとモフモフの犬耳に吐息を拭きかけ、熱を込めた声色でささやくのだ。
「思いっきりイクぞ……覚悟しろよ?」
「や、やぁん♡」
目をとろんとさせ、だらしなく開いた彼女の唇をいささか乱暴に奪った。
*** ***
「は、はうぅ……クレイ、凄かったぁ♪」
1時間後、すっかりふにゃふにゃになったアルを優しく抱きしめながら、余韻に浸る。
ふふっ……修行を重ねパワーアップした私の技は、サキュバスとはいえまだ年若いアルには刺激的過ぎたようだ。
心地よい事後感に思わず寝落ちしそうになるが、潜入捜査はここからが本番である。
私たちが行為を終えたことを察したのだろう。
控えめに部屋のドアがノックされる。
部屋に案内されるとき、あえて相場より高い金を手渡したのだ……恐らく上客候補としてここの店の幹部が営業を仕掛けてくるはず。
「フォローを頼むぞ、アル!」
「ふにゅ~っ」
いまだとろけているアルの頭を撫でてやると、了解のサムズアップが返ってくる。
私はアルの精気と混じり合って絶好調の”魔眼”の出力を最大にし、入り口のドアを開ける。
「お客様、いかがでしたか? 当店の…………」
ギンッ!
予想通り、恰幅の良い店の支配人と思しき初老の男がドアの前に立っていた。
魔眼の光を浴びた支配人の瞳から光が消える。
私は、魔麻薬取引の証拠を持ってくるように支配人に命じる。
数分後、私の操り人形となった支配人は、魔麻薬の仕入れ先及び中毒した顧客の情報が載ったリストを持ってきた。
その内容をアルと協力して複製した私は、魔眼の力を解放し数時間分の記憶を支配人から奪うと何食わぬ顔で店を後にする。
この証拠をレイトンさんに渡せば、すぐに捜査が始まるだろう。
王国警察の広報ネタを手に入れつつ王都の治安を改善……素晴らしい成果に満足しつつ、私たちは家路につくのだった。
……しばらくの間、アルから媚薬えっちをねだられるという副作用が発生したが。
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