第19話 魔力の子。
金属でできた分厚い扉。向こう側からかんぬきがかけてあるから押しても引いてもびくりともしない。
むむ。
動かないなら魔法でぶち抜けばいいんだよね? と、そう考えるけど。
確か扉の向こうにはあのおじさんがいるんだっけ。
魔法打ったらおじさん巻き添えで死んじゃった、じゃ、寝覚め悪いよね?
さあ。どうしよっかな。
手のひらで扉を触る。
次元操作、空間操作を司るギア、アウラを集めて。
空間を転移するときとはちょっと違う。空間の隙間を操作する事でこの金属の扉を抜ける。自身の身体と扉の金属との次元を少しずらす事でするっとその扉をすり抜け外に出たあたし。
「な!」
どこから、と言いかけた見張りの男の腹にソニックブームをぶち当てて気絶させた。
他に誰がいるかわかんないのに騒がれたら厄介だしね。
魔力の子、ギア。
この世界に満遍なく存在する神の子。
神の氣マナによって力を行使する存在。魔法っていうのはこのギアを操作するコントロールする方法の事だ。
魔力特性値が高ければ高いほどこのギアとの親和性が上がり、より多くの複雑な魔法を行使できるようになる。
火のアーク。
水のバアル。
風のアウラ。
土のオプス。
これら四大元素の子らと。
時のエメラ。
漆黒のブラド。
金のキュア。
光のディン。
これらの四大天使の子ら。
物質の化学変化に干渉するアーク。
物質の温度変化に干渉するバアル。
空間の位相、位置エネルギーに干渉するアウラ。
そして、それらの物質そのもの、この空間に物質を創造し生み出すことのできるオプス。
時空を司るエメラ。
漆黒の、闇、重力を司るブラド。
全ての命の源。金のキュア。
光の、エネルギーそのものを司る、ディン。
ギアはこれら代表的なものだけではなく細かいものはもっと沢山の種類が存在するのだけれど。
彼らとシンクロする事でその権能を、力を行使する。その方法のことが魔法と呼ばれているのだ。
あたしはギアと心で通じる事ができる。
心に思い浮かべるだけで彼らの権能を解放することができた。
さ、て。
どうやら上の階にもう数人いるらしい。
このおじさんはここに寝かせておいて、ちょっとそちらにいってみますか。
お前は要らないと天上界を堕とされたけど、ゼロと判定された魔力特性値が実は無限大♾だったので世界を救ってみます! 〜無限大♾のマギアスキル《ゼロ》〜 戻ってきてと言われてももう遅いよ? 友坂 悠 @tomoneko299
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