博士!大変です!!
流僕
精神読み取り機
博士は今、自身が開発した精神読み取り機の成果を学会へ発表するための論文を書をている。
精神読み取り機とは、思想や感情を読み取ることの難しい精神科病の患者たちのに使用する機械である。
この機械を使うと患者の思想や感情を事細かに知ることが出来るため、今や多くの病院が使っている。
午後六時半ごろ、博士の頭の中で突然脳内電話の着信音が鳴り出した。
どうやら、この研究所から十分ほどのところにある病院からのようだ。
こんな時間に何の用だろう、博士は電話に出た。
「はい」
「博士!大変です!!」
「どうしたんですか」
「博士の開発した精神読み取り機をつかっても、何も読み取れない患者がいます」
「そっ、それはどういうことだ!」
博士は戸惑った。
精神読み取り機は何十年もの歳月をかけて作った自信作で、
十年ほど前から一般の病院で使用されているが
これまでどこの病院からも問題が起きたなどの話は聞いたことがなかった。
精神読み取り機を使っても何も読み取れないことなど考えられない。
「今すぐそちらへ向かいます!」
博士が病院に着くとすぐに問題の患者のいる診察室へ案内された。
診察室のドアの前に立つと、中から医師とその患者の会話が聞こえてくる。
呼吸を整え博士はドアを開ける。
診察室の中には精神読み取り機を頭に付けられた患者が椅子に座っていた。
患者は突然入ってきた博士には目も向けず、
表情を変えずに目の前に座る医師に向かって言った。
「だからさっきから言ってるじゃないですか、
僕は人間そっくりに作られたロボットなんですって……」
博士!大変です!! 流僕 @Ryu-boku
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