第47話


結論から言うとアイリスは二つ返事で引き受けてくれた。


「私の依頼はまだ一週間以上も猶予があるからな。今日はお前に付き合おう」


「ありがとうアイリス。恩に着る」


「その代わり…その、か、貸しひとつだからな…?くれぐれも忘れてくれるなよ?」


「ああ。お礼は必ずする。俺にできることがあればなんでも言ってくれ」


「…そ、そうか。じゃあ、考えておく」


「あくまでも俺に出来ることだぞ…?」


あまりにもアイリスが期待をするような表情なので、俺は釘を刺しておく。


ない袖は振ることができない。


「安心しろ。別に無理難題を押し付けはしないさ。ただ、一緒に買い物とかできたらって…」


「なんだその程度か。それならいくらでも付き合うぞ」


「本当だぞ!?言質はとったからな!?二人きりでだぞ?」


「おう。約束な」


そう言うわけで、俺はアイリスにミノタウロス討伐を手伝ってもらうことになり、久しぶりにともにダンジョンへと潜ったのだった。



アイリスの手伝いのおかげで、俺たちは信じられないスピードでダンジョン内を進んでく。


「お前とこうしてダンジョンに潜るのも久しぶりだな…!」


「ああ…!その割には俺たち、連携が完璧じゃないか…?やっぱり長年一緒にやってきたから体に染み付いてるのか?」


「ふふっ。そうだな。一緒に切磋琢磨してきた日々を思い出すよ」


そんな会話をしながらも、俺たちは剣を振り、道中のモンスターを屠っていく。


あっという間に10階層へと辿り着いた。


「すごいな…もう中間地点だ。ここまでどれぐらいだ…?」


「約90分ほどだな…これなら、今日一日でミノタウロス討伐を完遂出来るんじゃないか?」


「ああ。このペースで進めればな。アイリス。お前には本当に感謝するぞ」


「よせ。ギルドがなくなったってお前とは友人だ。困った時はお互い様だろう」


「そうだな」


俺たちは頷きあい、さらにペースを早めてダンジョンを攻略していった。


それは15階層に到達した直後のこと。


「うわあああああっ!」


「くそっ!!一旦引くぞっ!!」


前方から悲鳴のような声が聞こえてきた。


俺とアイリスは顔を見合わせる。


「アイリス…いまの…!」


「ああ。おそらく誰かがモンスターに…」


「行くか?」


「無論だ」


次の瞬間、俺とアイリスは地を蹴り、悲鳴の聞こえた方向に向かって走り出す。


間も無く前方に、モンスターの群れと対峙した十名弱の冒険者たちの姿が見えてきた。



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