第41話


アルトリア家からの依頼を失敗し、ギルド『青銅の鎧』の名前は地に落ちた。


このままだと現在のメンバーも次々とギルドをギルドを脱退しかねない。


彼らを繋ぎ止めておくために、ギルマスは、仲間から慕われていたアルトをギルドに連れ戻すことにした。


「ガイズ…!貴様も協力しろ!!」


「はい…」


野望が潰えて抜け殻のようになったガイズにも協力させ、ギルマスは足を使って聞き込みを行い、アルトの行方を追った。


その結果、なんとアルトが現在アルトリア家の騎士をやっていることがわかった。


「こ、これは…!」


それを知ったギルマスは歓喜した。


元ギルドメンバーだったアルトが、何があったのかは知らないが、アルトリアで騎士をやっている。


それならアルトを使ってアルトリア家とのコネクションを得ることが可能かもしれない。


多少給料を多めに払ってもいいから、なんとしてでもアルトをこちら側に引き込み、アルトリア家に再度交渉を持ちかける。


そうすれば、ギルド『青銅の鎧』の名声を回復し、状況を打開できるかもしれない。


そう考えたギルマスは早速アルトの使えているアルトリア家の屋敷を訪れることにした。


「ガイズ…!ほら、行くぞ!」


「はい…」


ギルマスはガイズを伴ってアルトの元へと向かう。




「くぁああ…本当、楽な仕事だよなぁ…」


その日の俺の任務は、アルトリアの屋敷の警護だった。


門の突っ立って、ぼんやりと前方を見ているだけで過ぎていく簡単なお仕事。


モンスターと戦う必要もないし、足を使って素材なんかを集めたりする必要もない。


アルトリア家での騎士の仕事は、冒険者に比べて非常に楽で、おいしいものだった。


これで金払いまで三倍以上なんだからたまらない。


本当、ニーナ様様だな。


「平和だなぁ…」


白昼堂々、アルトリア家の屋敷へ侵入しようなんて輩はそうはいない。


俺は欠伸を噛み殺しながら、平和な時間を過ごしていた。


「ん…?あれは…」


不意に前方に二つの影が現れた。


「はっ!?ギルマス…!?それにガイズ…!?」


幻覚かと思って目を擦ったが、そこにいるのはやはり『青銅の鎧』のギルマスと、参謀のガイズだった。


ギルマスが俺を見るなり、嬉しげに駆け寄ってくる。


「おおお!!アルト!!ひさしぶりだなぁ!!!元気にしていたか!!」


「え…」


俺をクビにしたくせに、親友みたいなテンションでこられて、かなり戸惑ってしまった。


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