中華料理店むげん

たらいゆあ

一皿

「午前中のプレゼン失敗したな。Aプランがひびくと思ったら、まさかBプランとは。もっとちゃんと資料を準備すればよかった。」木下は思い、ふぅとため息をつきオフィス街を歩いていた。突然、雨が降り出した。

「新しい鞄にしたばっかりなのに、古い鞄で来ればよかった。しまったな。」木下は慌ててすぐそばの中華料理店にかけこんだ。客席はテーブル席が3つほど、カウンター席が3つほどパーテーションが置かれていた。昔からある中華料理屋といった雰囲気だ。

「いらっしゃい!お一人ですか?カウンター席にどうぞ。メニュー持ってきますね。」店の女将さんが元気な声で言った。

木下はカウンター席についた。メニューを受け取り開いた。メニューはラーメン、チャーハン、餃子の3つのみだった。

「少なくてごめんね。コロナでお客さん減ってて材料余っちゃうのよ。だからメニュー少なくしてロスを減らしてるのよ。」と女将さんは言った。

「ラーメン、チャーハン悩むな。どうしよう。うーん、食べたい気持ちは同じくらいだな。雨で少し濡れたから温かいもの。汁物のほうがいいかな、、」木下は悩んでいた。

「すみません。ラーメンください!」木下は意を決して言った。10分ほど経ちラーメンが届いた。

ずるずる「暖まるな。醤油味で昔ながら。味は普通だけどおなかいっぱいなったし正解だったかな。」と木下は思った。

その時他のお客さんにチャーハンが届いたスープ付きだった。

「えっスープ付きかよ。スープ付くならチャーハンだったよ。失敗したな。」と木下はがっかりした。

「お会計お願いします!」木下はラーメンを食べ終わり支払いを済ませて、ドアを開けて外に出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る