第3話

「すげ……」


俺は思わず声が出た。

家の廊下は長くシャンデリアもついていたからだ。


「あら、そうかしら?」


俺の反応をクスクスと笑う有栖さん。

こんなところに住んでる人を家に上げたのか父さん…


そんなことを考えていたら誰かに服を掴まれた。さっきの男の子だ。確か…林檎?だっけ。


「どうしましたか?」

「…………司さん…だったっけ…」



俺は頷きながら「はい。」と答える。


「あ、僕に敬語はいりません…」


「分かった。」と答えると林檎は小さく頷いた。


「それで?なんのようだ?」

「司く〜ん!林檎!先行っちゃうわよ〜」

「おっと…有栖さ…ママが呼んでるな。えーと、林檎?歩きながら喋ろうか」

「分かりました!」


そういって林檎はふわっと微笑んだ。

小さくどこか無邪気なその笑顔に不本意ながらキュンとした。

なんだ。暗いやつかと思ったけど、意外とかわいいな。


林檎は言葉を発するのが苦手なのか途切れ途切れ話した。短くまとめるとこうだ。


「今まで有栖さんの夫になった人たちはすぐ別れてる。使用人たちは全員有栖さんに救われた人で、有栖さんは可愛いから変な男が有栖さんを誑かして結婚したと思ってる。だから虐めて追い出す。虐めている理由は他にもある。この家の使用人は殆どが女で、女は大抵の人が夫に裏切られた人だから男が嫌い。」


まぁつまりは父さんが虐め抜かれてまた離婚にならないか心配らしい。


「なるほどな…でもまぁ、父さんなら大丈夫だよ」

「え?なんで…そう言い…きれるんです……か…?」

「なんでも何も…うちの父さんは元ヤンキーだよ」

「え………」


これには林檎もびっくりしていた。でも多分有栖さんはこの事を知っているだろう。父さんは嘘をつけないからな。


「だから大丈夫大丈夫」

「そ、そう……です…か…」

「司く〜ん!この部屋が司くんの部屋よ〜♡」

「あ、わかりました!」


…すごい広いな。元の俺の部屋の3倍以上はあるぞ?しかもシャンデリア付いてるしベッド無駄に広いし……

本格的にやばいとこに来てしまったかもしれない。

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