【創作BL】なんでこうなった!?

@bakadakedoahojyanai

第1話

まだ寒い春先の出来事だった。


「ごめんな司…」


謝罪する父に感情がこもっていないのはすぐ分かった。

父は知らない女の人に腕をかけられ笑顔を浮かべていたからだ。


「えっと…父さん?その人は…誰……?」

「あらぁ、自己紹介を忘れていたわね♡

私は有栖苺47歳よ。今からあなたのお母さん!気軽にママ♡って呼んでねぇ」


47!?そんな年齢には見えないぞ!?

いや、大事なのはそこではない。この女は今なんと言った?今日から俺の母さんだと?


「おい父さん!どういうことなんだ!!」


殴りつけるように問いかける。


「お、落ち着いてくれよ司。」


落ち着いていられるか、父が知らない女と帰ってきたと思ったら母さんだと言い出すんだぞ。


「いいから説明してくれ!」

「わ、わかったわかった。」


慌てるように父はそう言った。


「まぁ、単刀直入に言うと、父さんこの有栖苺さんと再婚することにしたんだ。」

「………………………」


呆れて言葉が出ない。実の息子に相談もせず再婚なんて………

でも


「…………っ…わかったよ…」


母が亡くなってから元気がなく俺に気を使いながら頑張って仕事をしてきた父が幸せそうにしている様子を見て俺は何も言えなかった。


「で?これからどうすんの」

「明日苺さんの家に引っ越すから荷物まとめだよ〜」

「…は?」


急すぎんだろ。明日俺学校あんだけど?


「待て待て。明日?明日って言ったか?」

「そうよ〜明日私の家に引っ越すのよ〜」

「………………もういいやそれで…」


すべてを諦めた俺は静かに準備を始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る