第13話 SOS13

「ヒロインの名前は何にしよう?」

「私の名前は菜々子です!」

 チタマにヒロインアピールする菜々子。

「僕の名前が水野蒼だから、ヒロインの名前はなんだろう?」

 既にヒロインから外されている菜々子。

「私の名前は光野菜々子! これならどうだ! です!」

 往生際の悪い菜々子。

「ヒロイン、姫だから姫野プリンセスなんてだろうか?」

「姫の精霊プリンセス。」

「それとも女神にしてしまうか?」

 試行錯誤は繰り返される。

「水の精霊ウンディーネが人間になり、水野蒼に恋い焦がれる切ないラブストーリーは突然に。」

「しかし蒼はウンディーネではなく他の女が好きだった。」

 それが女神だ。

「精霊の女神ゴデス?」


 日が変わる。

「種類か!?」

 ・精霊騎士。からの

 ・女神騎士。

 ・悪魔騎士。

 ・天使騎士。

 ・神騎士。

 ・冥王騎士。

 ・海王騎士。

 ・黄金騎士。

「ほぼ聖闘士星矢の聖衣を騎士に変えただけ。」

 置き換えって楽だな。

 ・ギリシャ騎士。

 ・北欧騎士。

 ・惑星騎士。

「冠の名称か・・・・・・次から次へと問題が発生するな。」


「ジャパロボ。」

 日本が人型ロボットの開発に成功して世界に戦争を仕掛け支配していく。

「これだけ切り取ってもゲームにはなるな。」

 世界征服ゲーム。


「地球を守る? 地球は女? 女は女神?」

 アテーナー?

「神騎士ゼウス?」

 これ以上拘らない方が楽で簡単で良い。

「雷の精霊騎士サンダーバード?」

 師弟関係? 進化? 上位種? 別人?


「オリジナル戦記にしなくても、神騎士ゼウス戦記で十分良い様な・・・・・・。」

 今までの全てが無駄になる・・・・・・。

「名称から決めるとこういう展開になるのか・・・・・・。」

 私の時間を返せ!

「ほぼほぼ名前を決める問題さえ解決すれば、物語は先に進むのだ。」


「万物の創造者であり唯一神ヤハウェ。」

 これが全ての元凶。悪の始まり。

「悪意も生み出しちゃった神様。」

 オチだね。


「天空騎士ゼウス。」

 ???



「普通の人間の騎士は神々に戦いを挑み勝つことができるのだろうか?」



 ふとした疑問である。

「でも、こうするとオリジナルの人の名前が必要になる。」

 困った。

「でも無機質な人間が神や精霊と戦えるのかも見ものである。」

 主人公を水の精霊とか光のバエルとかにしようとしているのが邪道かもしれない。


「ユー アー ネーム?」

 アカウント名。

「あなた。」

 好きな名前を入れてね。アハッ!

「異世界が楽か?」

 人のサガ・・・・・・人間・・・・・・間でマリコ。昔使ったな。卑怯な奴。

「人の夢と希望は無限大! 何でもできる! スーパーマリコ!」

 2020オリンピック様に開発した最終兵器だ。

「私は夢を諦めない! 絶対に勝つんだ! うおおおおおおおー! 燃えろ! 私の心!」

 闘魂は聖闘士星矢だな。

「お恥ずかしい・・・・・・。」

 書いてて恥ずかしいな。


「間リコ。彼女は普通の人間ではなかった。超能力者だったのです。」

「間リオ。彼は普通の人間ではなかった。超能力者だったのです。」

 男女バージョン完成。

「人野間リコ。人野間が名字か。長いから間リコ。恥ずかしいから間リコと呼ばせてある。」

 確か間リコはそういう人間だ。


「次にチュートリアル担当のマスコットキャラクターをどうしよう?」

 水の騎士だと水の精霊ウンディーネで良かった。でも、こいつの特権を取り上げよう。

「属性の精霊は使えない。逆に悪魔? 違わないで天使?」

 間を取って妖精にしようか?

「妖野精子?」

 精子塗れな名前・・・・・・。

 フェアリー?

 妖精フェアリー?

「精野霊子?」

 妖精ティンカーベル! そのまま使ったろかい!

 妖精ピクシー?

「妖精二人体制にするか?」


「んん? 変なものが見える。」

 目の前に羽の生えた小さな女の子が見える。

「私、疲れてるのかな?」

 リコは恐る恐る近づく。

「あの? 大丈夫ですか?」

 リコは小さな女の子に声をかけてみた。

「あなたは私の姿が見えるの?」

「はい。」

「私の姿は心の純粋な人間にしか見えないのよ。冷たい人間には私の姿を見ることはできないの。」

「へえ~、そうなんですね。」

 間リコは素直に小さな女の子の話を聞いている。

「この世界にやって来たら、いきなり猛スピードの金属に跳ねられてしまったんです。もう私の体はボロボロです。シクシク。」

 小さな女の子は車に引かれたらしい。

「そうだ。私、絆創膏を持っているので貼ってあげましょう。」

 間リコは小さな女の子に絆創膏を貼ってあげる。

「ありがとう。優しい人間もいるのですね。少し安心しました。アハッ!」

 小さな女の子は間リコにお礼を言う。

「どういたしまして。」

 丁寧にお辞儀し返す間リコ。

「あなたはいったい何者なの? 小人さんなの?」

「失礼な! この羽が見えないの? 私は妖精です! 妖精のフェアリーです!」

 小さな女の子は妖精のフェアリーだった。

「すいません。失礼しました。」

 素直に妖精にも謝る間リコ。

「間リコ! 私はあなたを探していたのよ!」

 妖精フェアリーは純粋な人間を探していた。

「どうして私の名前を!? あなた!? ストーカーですね!?」

 警戒する間リコ。

「ストーカーってなんですか? 美味しい食べ物ですか?」

 妖精にはストーカーという言葉の意味は分からなかった。

「いいですか! 今、地球は真っ二つになる危機を迎えています!」

「スイカじゃないんですから。アハッ!」

 会話には全てショートギャグが入ると全然話が進まない。しかし現代の一般大衆に求められているのは面白さ。

「間リコ。あなたは地球を救う騎士なのです。」

「私が騎士?」

 キシキシ歯ぎしりなんて寒すぎて会話に入れられない。

「あなたは地球に選ばれた騎士なのです。どうか地球を救ってください。」

「私が地球を救う?」

 ダメよ。私は愛は地球を救う24時間マラソンなんてできないわ。それに徹夜はお肌にも悪いしね。アハッ!

「今、地球は一部の人間の悪意を支えきれずに真っ二つに壊れようとしています。」

「悪意?」

「悪意とは暴力、いじめ、パワハラ、セクハラ、戦争、難民、人種差別、大気汚染、森林伐採、放射能汚染。もちろん嫉妬や妬み、悲しみ、堕落、物欲、睡眠欲、性欲、怒りなどの様々な一部の人間の自分勝手な暴挙よ。」

 はあ、はあ、はあ。人間の負の感情などあげていけばキリがない。

「間リコ。あなたは地球の騎士になって悪意と戦うのよ!」

「地球の騎士!?」

「あなたが地球を救うのよ!」

「私が地球を救う!?」

 壮大な使命を与えられた間リコ。

「またまたご冗談を。何か悪い物でも食べたんですかね。そうだ。妖精が見える方がおかしいのよ。うん。そうしとこう。」

「逃げるな! 現実逃避しないで!」

 妖精フェアリーは間リコを捕まえる。

「何よ!? お家に帰して! それに悪意なんてどこにあるのよ!?」

「あそこに。」

 妖精フェアリーは通行人を指さす。


「いたっ! どこ見て歩いてんだよ! 金よこせ! ボコボコにするぞ!」

 通行人と通行人がぶつかった。

「ギャアアアアアアー! 助けて!」

 ヤンキーと一般人で、ヤンキーは最初から態とぶつかり一般人からお金をカツアゲするつもりだった。正に悪意。

「・・・・・・見て見ないふり。」

 間リコは見たけど見ていないふりをして危ないことに近づかないことにした。

「こら。それが地球の騎士の取るべき態度か?」

 妖精フェアリーがツッコム。

「だって怖いんだもん。それに私は変なことに関わらないで平和に暮らしたいもん。」

 間リコの価値観は現代人の普通の価値観である。

「でも、あれを見て見ないふりができるかしら?」

「え?」

 ヤンキーの様子が変だ。


(おまえの悪意は頂いた!)


 どこからか声がする。

「ギャアアアアアアー!」

 ヤンキーが苦しみだし姿を変えていく。

「何々!? いったい何が起こったの!?」

 間リコには何があったのか分からない。

「私はバエル。この世界を滅ぼしてやる。キャッハッハー!」

 バエルという黒い者が現れる。

「あれは悪魔よ。」

「悪魔? これまたご冗談を。アハハハハッ。」

 笑って誤魔化す間リコ。

「人間の悪意が魔界から悪魔を呼び寄せたのよ。」

 人間の悪意は悪魔を召喚できるらしい。

「さあ! 間リコ! 悪魔と戦うのよ!」

「遠慮します。」

「逃がさん。あんたは悪魔と戦うのよ!」

「嫌だ! 死にたくない! おお! 神よ! なぜ私なんかを選んだ! 他にもっと強そうな人間がいただろうが!」

 必死に抵抗する間リコ。

「諦めろ。」

「嫌だ! 諦めたらそこで終わりだもの! 私は生きて帰るんだ!」

「はいはい。悪魔を倒してお家に帰ろうね。」

 間リコが悪魔と戦うことは回避できない。


「で、どうやって戦うのよ?」

 諦めて間リコは妖精フェアリーの言う通り悪魔と戦うことになった。



 ここで日が変わる。


「マスコットキャラクターは妖精より天使の方が良いのか?」

 後に神騎士としてゼウスが登場するのであれば、マスコットキャラクターは天使エルエルの方が良いのでは?

「妖精さんと小人さんは天使エルエルのお友達でいいのでは?」

 その方が物語の展開が楽なような。


「それにもっと主人公の超能力が強大でなければいけない?」

 そうしないと悪魔やゼウスと戦えないよね。

「もっともっと超能力や性質? 超能力に目覚める過程? を創作しなければ。」

 脳みその味噌を絞り出せ!


「地球の妖精?」

「地球の天使?」

「地球の精霊?」


 日が何日か経つ。

 スマホでゲームしてると廃人のようだ。でも今時の若者、アルバイトすらないから家の中で引きこもりのスマホばっかり生活なんだろうな。リモートワーク? あれも引きこもりと変わらない。


「マスコットキャラクターは・・・・・・手の平に乗るサイズの天使エルエルにしよう。」


 これなら普段、カバンとかに付けることができる。話の流れもスムーズに違いない。妖精と小人は天使のお友達にしておこう。これならスムーズだ。アハッ!

 久しぶりに脳みそをつなげたが微妙に繋がっているな。アハッ!


「人間なんて、悪意の塊! 人間は悪意を生み出す権化! 悲しみが生まれるんだぞ! おまえみたいな奴がいるから世界から戦いが無くならないんだ!」


 悪いことを考える脳みそを持っているのも人間だけなのだ。悲しい。全て人間の欲、欲望。



テーマは、


「地球が真っ二つになるのを防ぐ。」


なぜなら、そうなったら人類が滅亡するからだ。


これだけで壮大なストーリーは確実。



主人公は、


「超能力者、エスパー、サイキッカー。」


過去は魔法使いと呼ばれていた代物。


地球を守る為に選ばれた者。



敵は、


「悪魔。人間の悪意が悪魔を魔界から呼び寄せる。」


これで対決軸もOK! アハッ!



マスコットキャラクターは、


「妖精さんと小人さん。神さん、天使さん、精霊さんとか実在の人物で登場人物を回していこう。」


物語は、


「人間の悪意で回していこう。ぶつかる。ひったくる。事件、ニュース、悪いことには事欠かない現代。」


「全ての悪意は人間から始まっている。」


なんだろう? 2、3日執筆活動から離れていたが、不思議と頭の中がスッキリしているな。休養も必要ということなのだろう。グダグダダラダラ考えなくてすんでいるのかな。アハッ!



早速、物語を考えよう。



 このままでは地球が真っ二つになってしまう。

「え? ええ!? やめて下さい!? ギャアアアアアアー!」

 それを阻止しようと天界の神は地球に1匹の天使を落とした。

「ん? なに? ギャアアアアアアー!」

 ある日、人間の男の子の頭に落下した天使がぶつかった。例えると建設現場のクレーンで建材を持ち上げていて落下したのと同じ様な状況である。


 堕天使エルエル。


 この流れでいくとタイトルが堕天使エルエルになってしまう? これでいいのか?


「あれ? なんともない?」

 僕の名前は青井チタマ。普通の高校1年生。何かが頭にぶつかったみたいだがなんともなかった。

(なんとも無い訳ないだろうが!)

 そこに謎の女の声が聞こえてくる。

「なんだ!?」

 チタマは周囲を見渡すが誰もいない。

(チタマ。おまえは死んだのだ。)

「ええ!? 僕は死んだのか!? そういえば何かが頭にぶつかって気を失っていた様な?」

 チタマは死んでしまった。

(そうだ。おまえの頭に私の直撃を受けて死んでしまったのだ。アハッ!)

 他人の不幸は蜜の味。

「なに!? おまえの性で僕が死んだのか! こら! この呪われた人形め!」

 怒るチタマは目の前に現れた小さな女の子のぬいぐるみの頬を引っ張りまくる。

(やめろ!? 恨むんなら私を落とした神様を恨め!?)

「神様? おまえはいったい何者だ?」

 怪しそうな視線で小さな女の子を見るチタマ。

「私は偉大なる神の使途! 天使エルエルだ! エッヘン!」

 腰に手を当てどや顔で仁王立ちするエルエル。

「天界から落ちた天使なら、堕天使だろうが。」

「誰が堕天使だ! 私は天使だー!」

 エルエルは堕天使を嫌い、自分は天使だという強い拘りを持っている。

「そんなことはどうでもいい。」

「良くない!」

 やっと本題に入る。

「おまえは何のために僕の前に現れた?」

「いい質問ですね。青井チタマ。あなたは地球を救う者として選ばれたのです!」

 天使はチタマに使命を伝える。

「あれ? 僕は耳がおかしくなったんだろうか? 幻聴が聞こえる?」

「安心しろ。しっかりと聞こえているぞ。」

 残念ながらチタマの耳は正常であった。

「この水の星の綺麗な地球が真っ二つに割れようとしている。」

「なんだって!?」

 地球存亡の危機であった。

「このまま放置していれば3000年には地球は消滅してしまうのだ。」

「どうして地球が危機に瀕しているのですか?」

 良い質問をするチタマ。

「それは、原因は人間にある。」

「人間?」

「一部の人間の悪意が地球を飲み込み押しつぶしてしまおうとしているからよ。」

 地球の崩壊は人間のエゴがもたらすものであった。

「人間って、なんて恐ろしい存在なんだ。確かに学校もいじめや暴力ばかりだし、親も怒ってばっかり。他人と比べられて良いだの悪いだの。人間って生きづらい。とても悲しい生き物に思える。」

 人間のチタマは素直に人間の怖さを感じ共感した。

「そこで! 神様は地球を救うために私を天界から突き落とし、私が命中した、あなた! チタマは地球を救う者として選ばれたのです!」

「やっぱり突き落とされてきたんじゃないか。おまえは堕天使じゃないか?」

「堕天使言うな! これでも私は立派な神の使途です! アハッ!」

 どんなに否定しても天界から落ちてきた天使には変わりはないエルエル。

「でも自分すら救えない僕に地球なんて救えないよ?」

 チタマの素朴な疑問。

「大丈夫です。今からチタマには神の力が宿ります。エイ!」

「ギャアアアアアアー!」

 神の力を授かるチタマは雷にうたれ真っ黒焦げ。


「これでチタマも立派な地球の救世主です。アハッ!」

「そうかな? 何も変わったようには見えないんだけどな?」

 外見的な変化はチタマには見られなかった。

「そうですか? チタマには聞こえるようになったはずです。人間の悪意が。」

「え?」

 その時、チタマの耳に人間の声が聞こえてくる。


(吹き飛ばしてやるぜ!)


 悪意に満ちた人の声であった。

「なに!? 今、吹き飛ばしてやるぜって聞こえた!?」

 驚くチタマ。

「それが人間の悪意です。悪いことばかりしていると、それが大きくなり最終的には人の悪意が地球を破壊してしまうのです。今の声が最終的に何を呼び寄せるのか見ていてください。」

 エルエルは声のした道を歩く通行人を指さす。


「痛い!」

 ヤンキーが普通の少年に態とぶつかって吹き飛ばした。

「どこ見て歩いてんだ! 調子に乗っているとぶっ殺すぞ! ああん!」

 ヤンキーは面白いことがないので笑って気晴らしをしていた。

「なんて悪い奴だ!? 人間って、あそこまで落ちぶれるんだな。寂しい・・・・・・。」

 チタマはショックを受ける。

「これが人間の悪意です。自分さえ良ければ他人を傷つける。それが人間です。ですが、この話には、まだ続きがあります。」

「え?」

 ここで終わるのが昭和。

「・・・・・・こ・・・・・・殺す・・・・・・殺してやる。」

 吹き飛ばされた少年は覇気もなく震えながら小さな言葉で呪われた言葉を口にする。

「ギャアアアアアアー!」

 次の瞬間、普通の少年は小型ナイフを取り出し、ヤンキーの心臓に突き刺す。この皆、危ない人間というのが平成、令和である。

「なんだって!? 普通の少年と思って同情した僕の悲しみを返せ!」

「引っかかる所は、そこですか?」

 神様は地球の救世主の人選を間違えたのではないかと疑いの目で見るエルエル。


(人間。おまえの悪意は頂いた。)

 

 その時、人殺しの今時の普通の少年の心に不気味な声が聞こえてくる。

「え? ギャアアアアアアー!」

 普通の少年が苦しみだし、足元に六芒星の魔法陣が現れ黒いオーラを放ち少年を覆う。

「我が名は悪魔バエル! 人間の悪意に魔界から呼び寄せられたのだ! ワッハッハー!」

 少年の殺人という悪意が悪魔を召喚してしまった。

「人間界など滅ぼしてくれるわ! バエル・ビーム!」

 バエルはビームを放ち破壊工作を始める。

「キャアアアアアアー!」

 街中で悪魔バエルが暴れ出した。

「化け物だ!? 早く逃げなくっちゃ!」

 チタマは怖いので一目散に逃げようとする。

「何を言っているのですか!? チタマ! あなたは地球の救世主なのですよ! あなたは地球を救う騎士に選ばれた者なのですよ! 逃げないで戦いなさい! 死んだときは土に埋めてあげますから。アハッ!」

 さらっと笑顔で怖いことを言う堕天使エルエル。

「あんな化け物とどうやって戦えというんだ!?」

「私が言う様に言ってください。地球があなたに力を与えてくれます。いいですか? 地球よ! 我に力を与えたまえ! 変身! です。さあ、言ってみて下さい。」

「ええ~。なんだか恥ずかしい。」

「照れるな! 男だろ! 言わないと私があなたを呪い殺しますよ! どっちがいいか好きな方を選ばしてあげましょう。ウッシッシ。」

「こ、殺される!? 僕は小さなカワイイぬいぐるみに殺されるというのか!?」

「誰がぬいぐるみだ!? 私は立派な天使だ!」

 襲い掛かる天使の狂気。

「背に腹は代えられない! 地球よ! 我に力を与えたまえ! 変身!」

 チタマは悪魔と戦うためではなく、天使に殺されないために変身の言葉を口にする。

「うおおおおおー!?」

 チタマの体に地球の鎧が装備されていく。

「なんじゃこりゃ!?」

「地球の鎧よ。あなたは地球の騎士に変身したのよ。」

 チタマは地球の騎士に変身した。

「地球の騎士?」

「地球を守る為の騎士よ。チタマ。あなたに地球が力を貸してくれるわ。アハッ!」

「うんなアホな!?」

「天使、嘘つかない。」

 天使エルエルは嘘の吐けない性格だった。

「さあ! チタマ! 悪魔と戦ってらっしゃい!」

「ギャアアアアアアー!」

 背中を押されて町を破壊する悪魔バエルの前に登場する地球の騎士チタマ。

「なんだ? おまえは?」

「通りすがりの高1です! 失礼しました!」

 逃げだすチタマ。

「逃がすか! 人間は抹殺するのだ! 死ね! バエル・ビーム!」

 攻撃してくるバエル。

「ギャアアアアアアー! 死ぬ!? もっとお菓子をいっぱい食べておけば良かった!」

 チタマは死を覚悟した。

「あれ? なんともない?」

 バエル・ビームの直撃を受けたチタマだがなんともなかった。

「勝った! 僕の煩悩!」

「違うでしょ! 地球の鎧のおかげよ! あなたは地球に守られているのよ!」

「なんと!?」

 チタマは地球の騎士なので地球に包まれてビームを食らってもどうということはなかったのだった。

「青い空! 澄んだ空気! 透き通る水! ありがとう! 地球! 地球に生まれて良かったー!」

 チタマは地球に感謝した。

「大袈裟な奴・・・・・・。」

 呆れる天使エルエル。

「これなら戦える気がしてきたぞ! うおおおおおー!」

 チタマの戦意が上昇する。

「なんだ? これは?」

 チタマの周りが輝き始める。

「地球よ。地球があなたに呼応してエネルギーを与えてくれているのよ。」

「すごい! これが地球の力なんだ! よし! 集まれ! 地球のエネルギー! あいつを倒して地球を救うんだ!」

 チタマの周りに地球のエネルギーが集まって輝きを放つ。

「今よ! チタマ! アース・ビームを放つのよ!」

「いくぞ! 悪魔! 人間の悪意なんか吹き飛ばしてやる! くらえ! 地球光線!」

 チタマは地球のエネルギーを放つ。

「ギャアアアアアアー! 覚えてろよ!」

 攻撃を食らった悪魔バエルは魔界に帰って行った。

「やったー! 勝った! 勝ったぞ!」

 初勝利に大喜びのチタマ。

「地球は僕が守ってみせる! ワッハッハー!」

(意外とやるわね。もしかしたら本当に地球を守れるかもしれない。)

 天使エルエルもチタマの活躍に期待していた。

 地球一刀両断まで後2979年。

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