第8話 菜々子SOS8
「当たれー!」
菜々子は異世界でもハイパーメガ粒子砲を撃ちまくる。ちなみにエネルギーの充電は太陽光発電で地球に優しい。まあ、雨の日には役立たずである。
「菜々子。あんたならソロプレイでも魔王を倒せるわ。」
「よく言われます。アハッ!」
異世界でも無双する未来の悪魔の科学力が生み出したデビル・スーツの破壊力。
「この世界が滅んだら地球まで壊れてしまいます。地球真っ二つを阻止するために私は戦います!」
菜々子の目的は地球を悪意から守ることである。
「これで私の世界も救われる。菜々子、あなたは正に神よ! 救世主よ!」
水の精霊ウンディーネは菜々子を未来から連れてきて良かったと思った。
「私が神で救世主!? 分かりました! 私がこの世界を救います! くらえ! 拡散ハイパーメガ粒子砲!」
調子に乗った菜々子はハイパーメガ粒子砲を撒き散らかす。
「やめて!? 世界が滅んじゃうよ!?」
菜々子の拡散ハイパーメガ粒子砲は異世界に降り注ぎ被害をもたらす。
「ごめん。気合を入れ過ぎちゃった。アハッ!」
「可愛く笑っても許されないわよ!」
仲良しな二人。
「誰だ! 火山にエネルギー破を打ち込んだ奴は? おまえか!」
そこに一匹の精霊が飛んでくる。
「あれは!? 火の精霊サラマンダー!?」
やって来たのは火の精霊サラマンダー。
「皿割るんだ?」
「サラマンダーよ! あんた痴呆症なの!?」
ボケとツッコミなお笑い芸人な二人。
「おまえは!? 永遠のライバルの水の精霊のウンディーネ!? おまえの仕業か!?」
「ふっふっふ。バレたら仕方がない。膝間付け! サラマンダー! ここにおられる方をどなたと心得る! 未来からやって来た神! 菜々子であるぞ! この世界の救世主に頭が高い! 控えおろう!」
水の精霊ウンディーネは火の精霊サラマンダーに菜々子を紹介する。
「神? 嘘つけ。おまえの性で休火山にエネルギー破が命中して活火山になって噴火して溶岩にマグマが溢れ出しているんだぞ! そいつのどこが神だ! ただの破壊神ではないか! この世界を滅ぼすつもりか! この邪神め!」
火の精霊サラマンダーからすると菜々子は邪神に見えた。
「そんなアホな!?」
とばっちりを受ける菜々子。
「おい! どうしたの?」
そこに風の精霊シルフもやってくる。
「おお! シルフ! 邪神が現れたんだ!」
「なんだって!? まさか!? さっき風を切り裂いたエネルギー破は・・・・・・こいつの仕業か!?」
シルフは菜々子を指さす。
「ウンディーネ。何とか言ってよ。」
「シルフ。この人はこの世界を魔王から救うためにやって来た救世主よ。勇者様よ。」
ウンディーネが必死に訴える。
「嘘つき! 町や自然を破壊する奴が救世主なものか! 本当の勇者様はな! どんな小さな虫にも手を伸ばし、水や草にも勇気を与えるような尊いお方だ! エネルギー破をまき散らすような悪魔が勇者な訳がない!」
完全否定の風の精霊シルフ。
「ノーノ―! 地面にエネルギー破の攻撃があったんだけど、魔王の侵攻が始まったのか?」
そこに土の精霊ノームが現れる。
「あれだ。あの機械みたいなのを付けたのが救世主ってウンディーネが言うんだ。」
「ウンディーネ? あの嘘つきが。信じてはダメだよ。」
「でももしかしたらウンディーネも邪神に操られているだけかもしれないよ?」
火、風、土の三大精霊たちが緊急会議を開く。
「ウンディーネ。もしかしてあんたって、普段から嘘ばっかり言ってて仲間の信頼がないんじゃないの?」
疑いの眼差しで水の精霊ウンディーネを見つめる菜々子。
「そ、そ、そんなことはないわよ。ちょっと「未来に行ってくるわ!」とか、あいつらが時代についてきていないだけよ。私は夢と希望を実現する最先端な精霊よ。」
確かにウンディーネの言う可能性が成功して未来から菜々子を連れてくることに成功した。しかし、タイムワープーなど信じていない他の精霊からすると水の精霊ウンディーネは嘘つきなのである。
「困ったな。どうしよう? 私は世界を救いに来ただけなのに。」
菜々子は困り果てる。
(まずい! このままでは私が嘘つきになってしまう!?)
水の精霊ウンディーネは無い脳みそで考えた。
「そうよ! こいつは邪神よ! 邪神菜々子よ! 私たちの世界を滅ぼしに来たのよ! 危うく洗脳されるところだったわ!」
水の精霊ウンディーネは菜々子を保身のために裏切った。
「ええー!? ウンディーネ!? あんた何を言っているのよ!?」
菜々子は想定外の出来事に目玉が飛び出る。
「やはりそうだったのか! この邪神め!」
「ウンディーネ! ありがとう! あなたのおかげで邪神を倒して世界を救えるのよ!」
「どういたしまして。アハッ!」
水の精霊ウンディーネは他の精霊たちとの友情を取り戻した。
「裏切り者! いくらオリジナル物語に拘るからって裏切るなんて酷過ぎる! あんまりだ!」
(許して。菜々子。これもみんなが幸せになるためよ。アハッ!)
ウンディーネがこういう奴であるかもしれない。
「みんな! 邪神を倒して世界を平和にするわよ!」
「おお!」
一致団結する四大精霊たち。
「うんな!? アホな!?」
菜々子は目の前の光景を疑う。
「水の精霊ウンディーネが命じる! 水魔法! ウォーター!」
「火の精霊サラマンダーが命じる! 火魔法! ファイア!」
「風の精霊シルフが命じる! 風魔法! ウインド!」
「土の精霊ノームが命じる! 土魔法! ソイル!」
四大精霊たちが魔法で攻撃してくる。
「魔法なんて私のハイパーメガ粒子砲で吹き飛ばしてやる! うおおおおおおおー!」
菜々子は魔法にハイパーメガ粒子砲を打ち込み吹き飛ばす。
「なんという破壊力だ!?」
「我々の魔法がかき消されるなんて!?」
「さすが邪神!? これが邪神の実力なのか!?」
精霊たちは菜々子の攻撃力に死を覚悟した。
「許せ! 菜々子! こうなってはおまえはこの世界では邪神でしかないのだ!」
「おまえの性だろうが! 今からでもみんなに私が邪神ではないということを説明しろ!」
「今更遅い! 手遅れだ!」
菜々子と水の精霊ウンディーネのせめぎ合い。
「こうなったら、あれをやるしかない!」
「まさか!? あれをやるのか!?」
「この世界を救うためだ! 私たちも命をかけよう!」
火と風と土の精霊たちは覚悟を決める。
「嫌だ! 死にたくない! 菜々子は邪神ではありません!」
あがく水の精霊ウンディーネだが、時すでに遅し。
「くらえ! 邪神菜々子! 四大精霊最終奥義! ザ・フォー・グレート・スピリッツ!」
四大精霊が自身の生命エネルギーを燃やして菜々子に襲い掛かる。
「ちょっと!? 冗談はよしてよね!? 付き合ってられないわ! タイムワープ!」
菜々子は四大精霊の極大魔法が当たる寸前で他の時代にワープした。
「やった・・・・・・邪神を倒したぞ・・・・・・。」
勝利を確信した四大精霊たちは力尽きて自然に消えていきました。
「あの、私、魔王なんですけど。四大精霊がいなくなったら私は誰と戦えばいいのでしょうか?」
現れたのは魔王ダブル・ヘッド・ドラゴン・キング。魔王ドラゴン・キングの強化版か、若しくは子供、子孫である。
「そうだ! 天敵がいない間に、このアナザー・ワールドを征服してしまえばいいのだ! いけ! モンスターども!」
「おお!」
四大精霊がいなくなったことで魔王二頭竜は世界征服を始めた。
「これで世界は私のものだ! ラッキー!」
魔王は簡単に世界を征服し人間を殺しまくり、または奴隷として扱った。
「邪神様! ありがとうございました!」
後に四大精霊がいなかったのは邪神が戦い相打ちになったからと聞いた魔王は邪神の銅像を建立した。感謝を込めて毎日祈祷するのが魔王一族の日課になっていた。
「ここはどこだ?」
精霊たちのいた異世界から逃げた菜々子は、あれから500年後のアナザー・ワールドにやって来ていた。
「魔王歴500年の世界です。」
「それはご丁寧にありがとうございます。」
奴婢の人間が教えてくれた。
「魔王歴というと人間界が魔王に支配されてから500年もたったということか。悲しいな。私は地球も異世界も救えないんだ・・・・・・。」
黄昏る菜々子。
「そこの怪しい奴! おまえは何者だ?」
そこに騎士が現れる。
「失礼な! 人に名前を尋ねる時には自分が先に名乗れ!」
ごもっともな菜々子の意見。
「私は・・・・・・水の騎士ウンディーネ!」
現れたのは水の騎士ウンディーネだった。
「ウンディーネ!? あの裏切り者の精霊の末裔か!? 何て私は水に呪われた運命なんだ!?」
菜々子はウンディーネに裏切られた嫌な思い出がある。
「さあ! 私は名乗ったぞ! おまえの名前を聞かせてもらおうか?」
「私の名前は菜々子! 未来からやって来た!」
菜々子は堂々と自分の名前を名乗った。
「菜々子!?」
水の騎士ウンディーネの顔色が変わった。
「な、なんだ!? この反応は!? まさか!?」
嫌な予感しかしない菜々子。
「復活だ!? 邪神! 菜々子の復活だー!!!!!」
水の騎士ウンディーネは叫ぶ。
「なにー!? どうして私は邪神なんだ!?」
なぜか菜々子は500年後の異世界でも邪神だった。
「教えてやろう! おまえに倒された我がご先祖様たちの時代の人々が邪神菜々子の像を作って、もしも未来に邪神が復活しても人々が分かるようにしてくれていたのだ!」
「なんですと!?」
菜々子は邪神として500年の間、人々に忌み嫌われてきたのだ。ちなみに邪神菜々子の像は町の中心に飾られてある。
「まったく。ウンディーネはどの時代でも迷惑な奴だ。」
真実は菜々子はウンディーネに裏切られた被害者である。
「さあ! 死んでもらうぞ! 邪神! 菜々子! この受け継がれてきた水の剣! 水の鎧! 水の盾! 水の魔法で、今度こそおまえを目覚めることのない眠りに着かせてやる!」
水の騎士ウンディーネは全身水の装備だった。
「精霊が人間を守護する道具に変わったか!? ヤバイな!? まさかと思うけど、この展開は・・・・・・。」
また嫌な予感しかしない菜々子。
「ウンディーネー!」
その時、騎士たちが菜々子の元に駆けつける。
「おお! みんな! 来てくれたか!」
「火の騎士! イフリート!」
「風の騎士! シルフ!」
「土の騎士! ソイル!」
「雷の騎士! サンダーバード!」
「氷の騎士! ファンリル!」
水の騎士の仲間の騎士が5人駆けつけた。
「やっぱり。しかも2人増えてる。」
呆れる菜々子。
「あれから500年も経過すれば仲間が増えるのも当然だ! ワッハッハー!」
草葉の陰で水の精霊ウンディーネが笑っているかもしれない。
「みんな! 邪神が復活したぞ!」
「なんだって!?」
騎士たちは菜々子を見る。
「だから私は邪神ではないと言っていように!」
「よし! みんなで世界の平和のために邪神を倒すんだ!」
「おお!」
一致団結して菜々子を倒そうとする伝説の騎士たち。
「濡れろ! 水の剣! ウォーター・スラッシュ!」
「燃えろ! 火の剣! ファイア・スラッシュ!」
「吹け! 風の剣! ウインド・スラッシュ!」
「盛れ! 土の剣! ソイル・スラッシュ!」
「唸れ! 雷の剣! サンダー・スラッシュ!」
「凍えろ! 氷の剣! アイス・スラッシュ!」
6人の騎士たちは必殺技で菜々子を攻撃してくる。
「こっちの話を聞く耳もたずか。こいつらの相手なんかしてられるか。タイムワープ!」
菜々子は必殺技が命中する寸前に異次元に消えた。
「やったー! 邪神を倒したぞ!」
「だが力を使い果たしてしまったみたいだ・・・・・・バタッ。」
6人の伝説の騎士は力尽きて絶命した。
「あれ? 確かに邪神様の気配を感じたのだが?」
そこに魔王ファイブ・ヘッド・ドラゴン・キングが現れる。魔王もちゃっかり子供に相続されているのであった。
「あっ! 憎い伝説の騎士が6人とも死んでいる! ラッキー! これで魔王軍が人間界を支配し続けられるぞ! きっと、これも邪神様の御加護に違いない! 邪神菜々子像をもっときれいに磨いておこう! アハッ!」
こうして異世界は魔王の支配が続くのでした。めでたしめでたし。
「次の世界! 行ってみよう! アハッ!」
菜々子は1つの作品の中でジャンルの違う世界に旅行することは楽しんでいる。
つづく。
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