ハラケンと健の地獄の夏休み

ミッシェル

第1話 ここは何処だ……


( これは俺、原田源一郎が主役のお話。

夏休みの地獄の記録を語る物語である。

何故、こんな事になってしまったのであろうか? )


あれから一年…… 。

学校生活は順調で毎日が楽しく、何も不自由なく時間が流れました。

姫と黒崎は付き合って毎日幸せいっぱい。


ハラケンはと言うと…… 何とも複雑な問題が起きていました。

大好きな光との関係は上手く行かず、お互いに想ってはいるのですが、そこから前には進まないでいたのでした。

ハラケンはいつでも付き合う勢いでいましたが、光は直ぐに付き合う! とは言えませんでした。

それはハラケンの不真面目さと、ハッキリしない所が影響していました。

優柔不断に食事の仕方が悪い。

行儀のマナーも最低。

そんなんでマザコンでもあります。

光はそんなハラケンが少しでも治る事を期待していましたが、そう簡単には治らず前に進めずにいたのでした。


そんなある日…… 。

バイトの給料を貰い、スキップしながら光の家へ向かっていました。


( 今回はまあまあ稼いだぞ!

光と遊園地にでも行こうかな?

いやいや…… 夜景の見える所でご飯かな?

そろそろ付き合っても良いだろうに。

ウッシッシッシ…… およ? )


ハラケンは交差点の反対側で信号で止まっている光を見つけました。


「 おぉーー いっ! ひか…… り? 」


光は手を振っているが、ハラケンにではなくて謎の男性でした。

その男性は長身でハラケンとほとんど同じくらい。

顔は二枚目で笑った顔は格好いい。

二人は何処かを指でさして歩いて行ってしまう。


「 ひかりーーっ! ひかーりぃーーっ! 」


ハラケンの叫び声は虚しくも車の音に書き消されてしまう。

信号機が青になり直ぐに追いかけるも、街中は人でいっぱいで見失ってしまう…… 。

泣きながら絶望してその場に倒れる。


ドーーンッ!!


「 キミ? 大丈夫か!?

しっかりするんだ。 おぉーーい。 」


通行する人達が心配して駆けよって来ました。

ハラケンの目から涙が溢れる。


( 少しだけ眠らせてくれ…… 。

もう疲れちゃった。 )


ハラケンは静かに眠りにつく。

そこへ?


「 大丈夫です。

こいつ直ぐに貧血で倒れるんすよ。」


そこへ颯爽登場したのは、未だに勘当されている貧乏暮らしの健でした。

相変わらずチャラチャラしているがイケメン。

トレードマークの金髪が良く決まっている!


「 大丈夫かよ。 木偶の坊。

よいっしょ!! 帰るぞ…… 。 」


デカい木偶の坊を抱えて健は自分の家へ。


暗い闇の中に居るハラケン。


( ここは何処だ…… 。

何にも見えない…… 何処なんだ。 )


すると奥には人影が見える。

その後ろ姿は見ただけで分かる…… 。

背は低いけど可愛いくて少し気が強い。

光の姿でした。


「 光ーー 。 光ーー ! 」


ハラケンは走っても走っても全然辿り着けない。

寧ろ遠くなっている気がするくらいに。

そこに先程の男性が現れる。

光は微笑みながら腕を組む。


「 あぁーーっ! 何て事を!! 」


ハラケンは止めようにも前に進めない…… 。

光は微笑みながらハラケンに手を振っていました。

そして男性が振り返り…… 。


「 光はもう俺の物だぜ?

うひゃひゃひゃひゃひゃっ!! 」


二人はハラケンから離れて行ってしまう。


「 やめろぉーーっ!! 」


ガバッ!! 起きるとそこはボロボロのアパート。

ハラケンは状況が把握出来ないでいました。


「 起きたかよ。 木偶の坊。 」


健がそこに座っていました。

ここは健の住んでいるアパート。

一ヶ月なんと2万円!?

驚きの安さで事故物件だと噂されていました。


「 どうしてここに? 」


「 倒れてたから助けてやったんだろ。

どうした訳よ?? 」


ハラケンは長い夢を見ていたのだと思いました。

そうだ。 あの光の光景も全ては夢だと…… 。

酷い汗をかいていたのでポケットかれハンカチを取り出そうとしました。


ポロっ…… 。

ポケットから落ちたのは給料の入った茶封筒でした。

紛れもなくあの場所に行っていた証拠。


「 やっぱり…… 夢じゃないんだなぁ。 」


涙を流しながら健に事の経緯を話しました。

健がパン屋から好意で貰った、パンの耳を食べながら聞いていました。


「 もぐもぐ。 それは大変だったな。

遂に来てしまったか…… 。 」


「 遂に!? 一体どう言う意味だよ? 」


健は立ち上がり、窓の外を見ながら語り始めました。


「 姫よりは可愛いとは思わんが、光も案外可愛いと思ってたが、何故アイツにお前以外の男が来ないのか不思議思ってたんだ。

気は強いけど面倒み良いし、料理作れるし、そんでもって可愛いの三拍子。

不思議には思わんかったか? 」


ハラケンはその通りだと思い、ボロボロの涙を流しました。

自分には高嶺の花だったのだ分かったのでした。

そうです。 潔く諦めよう…… 。


「 クソぉ…… クソぉお〜〜 っ。

顔も悪くてマナーも最低でマザコンだよ。

取り柄はこのデカさだけ…… 。

もう…… 木に生まれて来たかったよ。

いっそのことさ。 」


ハラケンは意気消沈してしまい静かになってしまいました。

ふと健は思い出した事が。


「 木で思い出したけど、恋愛成就の噂のでけぇ大木があんだってさ。

行ってみる? 」


ハラケンは静かにうなづきました。

その日、二人はみんなには黙って男二人の旅が始まりました。

深夜バスに乗り何処へ行くのでしょうか?


次の日…… 。

白鳥城にてゆっくり眠っている姫。


「 すぅ〜〜 ぐぅーーっ 。 」


バターーンっ!!

急に部屋扉が開く。


「 うっ! うぇ?? 地震!? 」


寝ぼけながら起き上がり前を見ると、光が立っていました。


「 あの野郎…… 出掛ける約束したのに、来なかったのよ。 」


光は朝早くから怒っていた。

そう。 この作品のヒロイン。

今野光。 誰にでも優しく気が強い。

そして白鳥姫子。 このお城のような家に住むご令嬢。

友達の影響により自分勝手な考えを止めて、人を思いやる事の出来るようになりました。

誰にでも平等に優しく、食いしん坊さん。

今回のお話は主人公ではありません。


「 あいつ?? ハラケンの事? 」


「 そうよ…… 。

二人で近くのファミレスにハラケンの奢りで、朝食バイキング行く筈だったのに…… 。」


何やらまたケンカした様子でした。

姫は怒る光の頭を撫でて言いました。


「 それじゃあ朝食はまだよね。

一緒に食べよう?

セバス! 直ぐに光の分も用意出来るかしら? 」


セバスが廊下で話を聞いていて直ぐに返答する。


「 はい。 かしこまりました。

直ぐに料理長に最高なおもてなしをするよう手配致します。 」


そうして直ぐにセバスは下へ向かいました。

インカムを使い調理場へ連絡をする。


「 こちらセバス。

コードイエロー。 コードイエロー。

光様の分も朝食をご用意下さいませ。

少し気持ちが不安定の為、取って置きのを頼みますよ。 」


調理場は既にいつでも姫に作る下ごしらえを終えていました。


「 了解!! お前らやるぞぉーーっ! 」

「 うぉーーっ! 」


調理場は無理難題にも答えるプロの集まりでした。


そんな事で食堂に行き沢山の料理が並べられている。

二人は皿に好きな料理を盛り付けて、バイキング形式の朝食を楽しむ。

今日の料理長イチオシの料理は、和と洋の融合。

ラザニアである。

中身は米沢牛をミンチにして調味料とハーブで炒めて、何層にも重ねられた生地の間にクリームソースとミートソース。

デミグラス仕立てのソースの三層になっており、最後に大量のアルプスから取り寄せした、チーズをふんだんに使ってオーブンで焼き上げる。

隠し味に日本の最高の調味料である、七味唐辛子を入れてあるのです。


「 それでどうしたの? 」


姫のお皿にはラザニアと目玉焼きに、サラダを別に用意してあり、スープはコーンスープに。


「 それで…… 電話しても繋がらなくて、家に行ったら置き手紙があったらしくて探さないで。

って書いてあったんだって。 」


悲しそうに光は話しました。

お皿にはこれでもか!! と言わんばかりの大量の料理が乗せてありました。

ラザニアも沢山。


それを見て料理長もニッコリ!


「 もぐもぐ…… 酷くない?

折角お腹空かして…… バクバク!

朝早くから待って…… ジュルルルーー!

酷いよ…… 。 」


悲しみながらも食べるのを止めません。

光の食欲は宇宙顔負け。

ここの料理も最高なのです。


「 あらあら光ちゃん。 いらっしゃい!

行ってくれればもっと凄いの準備させたのに。 」


食堂に来たのは姫のお母さんでした。


「 んぐ!? ゲホっ! ゲホっ!

おはようございます。 全然お構い無く。

とっても美味しいですよ。 」


姫のお母さんは相変わらずいつもニコニコ。

光の事が大好きで個人的にも出掛けたりするくらいの仲良し。


その頃、ハラケン達は…… 。


「 ん…… ここは? 」


そこは大自然のど真ん中で誰も居ない。

二人は目を覚ます。

どうなっているのでしょうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る