第8話
ダンジョンへの入場方法は特殊である。
ダンジョンに入り口は無い。
宙に浮かぶ漆黒の球体『ダンジョンゲート』に触れる事。
それがダンジョン入場する為のの条件である。
上はS級、下はF級まで、様々な難易度のダンジョンがあるらしいが、全てのダンジョンのダンジョンゲートに外見上のの違いは無い。
その為、危険を避けるためにも、新たなダンジョンゲートを発見した場合は即座に探索者協会に通達しなければならないという決まりがある。
発見されたダンジョンが、もしもB級以上の危険なダンジョンだった場合、不用意に入れば最悪死にかねないからだ。
まぁ、このダンジョンはもう腐るほど探索されつくしたF級ダンジョンなので、もちろんそんな危険は無いが。
我がダンジョンゲートに触れると、一瞬ふわっとした感覚があり、気が付いたら広い洞窟の中にいた。
洞窟と言っても所々に整備された跡がある上に壁には電灯がついていて、洞窟内とは思えない程明るい。
既に探索しつくされているダンジョンな為か、本来居る筈のゴブリンすらも全く居ない。
「これでは洞窟というより坑道だな」
なんかこう、冒険感が無くてちょっと残念だ。
まぁ、目的が果たせるなら何の問題もない。
我はダンジョンゲートが見える範囲で能力の確認が出来そうな場所を探しながら今日ここに来た目的を頭の中で確認する。
我がここに来た目的は二つある。
一つ目は今の我の能力の確認。
これは動作確認の為でもあるが、最大の目的は、何かに襲われた際、前世の二の舞にならないよう、『地球人Lv1000』に対する対処法を確立する為だ。
二つ目はこのダンジョンがどんなものであるのかを大まかにでも把握する事。
ダンジョンはあのクソ女神が我へ嫌がらせをする為の調整であると我は考えている。
つまりダンジョンには我にとって危険な何かがあるという事。
どうせ危険なら一番危険度の低いF級ダンジョンで情報を収集しようと思ったのだ。
まぁ、今回は入り口付近までしか行かないつもりだから情報などほとんど手に入らないと思うが。
「あそこでいいか」
ダンジョンゲートから五十メートル位離れた所に、開けた場所があった。
「『転移の魔眼』、よし、始めるか」
我はそこに『転移の魔眼』を使って転移する。
まずはステータスを確認しよう。
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名前 大星空人(シリウス)
レベル 1
職業 魔王
称号 転生者 異世界人 絶対魔王ぶっ殺す世界の異物 不幸の権化
加護 なし
呪い 女神の私怨
基礎能力値
HP215000/215000(5300000/5300000)
MP1000000/1000000(20000000/20000000)
物攻23000(460000)
物防21750(435000)
魔攻25000(500000)
魔防21000(420000)
敏捷22500(450000)
幸運0
スキル
魔王Lv10(七魔眼、魔王魔法、絶対防御障壁、超再生、魔力支配、魔王覇気etc) 基本属性魔法Lv10 全属性魔法耐性Lv10 物理攻撃耐性Lv10 精神攻撃耐性Lv10 身体強化Lv10 地球人Lv1000(対魔王攻撃力1000倍、魔王攻撃無効、魔王防御無視、対魔王超デバフ、対魔王再生超鈍化etc) 限定メール
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まずは物理攻撃力の確認。
『地球人Lv1000』を持っている相手には全く意味のない能力だが、一応確認しておこう。
我は近くにたくさんある岩の中からのちょうどいい岩を見つくろう。
「よし、この岩にするか」
我が選んだ岩は今の我の身の丈の2.5倍ぐらい。
メートルにすると3.5メートルと言った所か。
岩の前に立ち、構えを取り、拳を引き絞る。
「はっ!はっ!はっ!」
ドゴォ!ドガァ!ドガァァァァン!
三発ほどで岩が跡形もなく吹っ飛び、大体十メートル位に渡り破片が吹っ飛んだ。
――弱い。弱すぎる。
三発打ってもこれとは……。
やっぱり五パーセントじゃ大した威力は出ないな。
いや、子供の体だから相対的に威力は下がっている筈。
という事は元の1%ほどの力しか出ていないかもしれないな。
まぁ、威力が高かろうが低かろうが『地球人Lv1000』の前には無力だが。
次は魔法攻撃力。
『魔王魔法Lv10』は百万程度の魔力じゃ使えないので『基本属性魔法Lv10』を使う。
基本属性魔法とは、火、水、風、土、雷、光、闇、無の八属性である。
魔法は技術が高ければ能力の低さを補える。
物理攻撃よりは威力が出るだろう。
壁に向かって手を付きだす。
今から我が使うのは火、水、風、土、雷、光、闇の上級魔法を無の属性によって融合させた魔法……。
「黒き閃光」
七属性それぞれの色が混ざって漆黒となった光がすさまじい速度で壁に伸びていく。
壁に到達した瞬間……
眼に見える範囲の壁が陥没した。
中々の威力が出たな。
この威力なら前世の軍隊で言う一師団位は消滅させられる。
『地球人Lv1000』の前では意味が無いが。
……。
はぁ。
『地球人Lv1000』。
このスキルのせいで我はこの世界では最弱種族である。
本当に忌々しい。
そうなるよう女神が仕向けたため、仕方のない話ではあるが。
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