我がマスターは天才である

刃物である我を扱うにも関わらず

何人ものお客様が気を許す

安心して身を任せている

子守唄が如く眠りに誘う


我がマスターは聞き上手

来る人皆が話をする

我を使いながら笑顔で聞く

受け入れ、寄り添い、安心させる

皆が笑顔で帰っていく


我がマスターは謙虚である

同僚に褒められても

我々や同僚、お客様を称える

周囲の人への感謝を忘れない

この場所は居心地がいい


我がマスターは努力する

夜遅くまで一人きり

さらなる成長を求めて

日夜、研鑽重ねる

その実力は天下一



天下一の腕をもって

刃物である我を使って

居心地がいい環境をつくり

笑顔にしていく

たまに安心させすぎて

寝かせてしまう

そして、会話できない我々の

声を聴き、意志を汲み取り

人の姿を変えていく

我がマスターは魔法使い

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なんのとりとめもない僕らの話 胃が痛い @igaitai

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