第22話 絶対に諦めない

「兄上、何をしておいでですか?


「ああ、磔柱はりつけばしらを作っておるのだ」


「誰をはりつけの刑にいたすのでしょうか?」


「兄だ、兄はこれを松岡の代官所に持って行って、門の前で兄の覚悟を見せつけるのだ。門の前で、街道のど真ん中でそんな事をされれば大きな話になるだろう。なあに、心の臓が小さなあいつの事だ、きっと根を上げるに違いない」


大きなものに、強い者に弱いあいつの事だ。水戸の佐々木様の事で俺は十分理解している。あいつの上役の目に止まれば絶対に事は動き出す。


「明日の朝、夜明け前に門の前に柱を立てて、出仕する奴らの前で兄はこの柱にくくられた姿をさらしてくる。明日には絶対に事を動かして見せる」


「ならば、私もお供いたします!」


「やめた方がいい。下手したら牢獄行きだ」


「いいえ、行きます。明日、涼香を置いて行っても、あそこなら、一人でも行けますのでダメといっても行きます」


次回、処刑。

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